2024年06⽉22⽇(第3406回)

「地域に対するケア(配慮)」というギフト ――オーバーツーリズムを超えるために

立命館大学文学部 教授 遠藤 英樹

 2019年以前、京都には国内外からの観光客がおしよせ、京都の文化・暮らし・自然などが様々な弊害が被るようになっていました。コロナ禍の中では逆に観光客が訪れなくなり、観光産業は大打撃をこうむり、それが京都の地域経済を揺るがせてしまってもいました。2023年5月8日に新型コロナウイルス感染症の位置づけが「2類」から「5類」へと変更になり、それに伴って再び、国内外からの観光客が京都に押し寄せるようになり、コロナ禍以前の同じ問題・課題が京都に現れるようになっています。このようにみるならば、観光は京都の人々をふりまわすだけの、あまり良くない現象のようです。でも本当にそうでしょうか?観光は、地域にとって大きな恩恵をもたらすものとなるはずです。観光は、そのやり方によって、「地域に対する配慮(ケア)」をもたらしてくれます。そして、そのことこそが、地域を持続可能なものにするうえで重要なポイントとなるのです。本講座では、このことを皆さんと考えてみたいと思います。