2024年07⽉27⽇(第3408回)

敦煌⽂献に⾒る漢籍の伝播

⽴命館⼤学⽩川静記念東洋⽂字⽂化研究所 研究員 髙井 ⿓

 敦煌文献は、9世紀から10世紀の写本を中心とする寺院文書である。中国古典文献は、多くが版本によって現代に伝わることから、版本がまだ広く行われていない時代、写本によっていかに文献が伝播したのかは、明らかでない点が多い。本講演では敦煌文献を史料として、その大部分を占める仏教文献はもちろんのこと、漢籍という語句から一般的に想定される古典文献も取り上げ、それらの伝播の様相を考える。その中で、中国国内における文献の伝播の特徴や、敦煌という地域の特殊性に着目する予定である。