2024年08⽉24⽇(第3410回)
ベティ・リアドン ―― フェミニスト平和教育研究のパイオニア
同志社⼤学⼤学院グローバル・スタディーズ研究科 教授 秋林 こずえ
フェミニスト平和研究・平和教育研究の第一人者のベティ・リアドン氏が2023年11月に逝去した。リアドン氏は平和研究の黎明期にジェンダーの視点を導入し、平和研究が実践とつながるための平和教育研究を牽引してきた。氏は主著書の一つである『性差別主義と戦争システム』(原著出版1985年)で主張したように、性差別と軍事主義は家父長制と同根であり、戦争をしない社会を作るためには性差別と軍事主義の両方を克服する必要があると論じてきた。その実践として国際的にフェミニスト平和運動ネットワークを作り、国連や国際NGOなどとともに活動した。平和教育に関しても平和教育をグローバルに展開するための研究会(IIPE)やキャンペーン(GCPE)を続けてきた。そのような活動においては、沖縄のフェミニスト平和運動や平和教育にも深く関わった。本講演ではリアドン氏の研究と活動、人となりを振り返る。そしてこれから何を継承していくか考える機会としたい。