2024年10⽉12⽇(第3413回)

発達障害とジェンダー― 発達障害の女性の理解と支援を中心に―

お茶の水女子大学 生活科学部心理学科 助教 砂川 芽吹

 発達障害のある人は,その特性から,社会生活において様々な困難を経験し易いと考えられます。さらに,「女性」というジェンダーの要素が加わることによって,社会との関係はより複雑になります。しかしながら発達障害の女性については,これまで焦点が当たりにくかったといえます。その背景として,発達障害と診断される人の数は女性より男性の方が圧倒的に多いため,男性をモデルとして捉えられてきたことがあります。しかし近年,発達障害の女の子や女性への関心の高まりから,ジェンダーの観点から発達障害を考えることの必要性が認識され始めているのです。

 そこで今回は発達障害とジェンダーというテーマに関して,特に女性に焦点を当てて,彼女たちの理解と支援について考えていきたいと思います。また,女性と男性という2軸だけではなく,発達障害と性の多様性についても扱い,既存の性の枠組みに当てはまらない当事者についてもお話していきます。なお今回は基本的に女性を中心にしていきますが,他の人と比べたときの生きづらさや困難の「量」の違いではなく,その「内容(質)」を扱うことに留意してください。