2025年1⽉25⽇(第3418回)
阪神・淡路大震災~戦後最大の地震被害~
京都大学 名誉教授 / 立命館大学 歴史都市防災研究所 客員研究員 鈴木 祥之
関東大震災(関東地震、1923年)では火災による焼死が、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震、2011年3月)では津波による死者が多かったのに対し、阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震、1995年1月)では地震動による建物の倒壊などによる死者が多かった。
阪神・淡路大震災は、大都市の直下で発生した「都市直下型地震」であったため、甚大な被害をもたらした。死者は発生当時戦後最多となる6,434人となり、689,776棟の建物が被害を受け、被害総額は約10兆円に達した。コンクリート系、鉄骨系ビルなどの被害も多かったが、木造建築物の被害が顕著であった。そこで、木造建築物の耐震性に関する研究が重要となった。特に伝統構法木造建築物の構造力学的、とりわけ地震時の挙動は解明されていない点が多く、国土交通省補助事業「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会(2010-2012年度、委員長:鈴木祥之)では構造力学的解明と実験的検証のもと石場建てを含む伝統的構法のための耐震設計法作成に取り組んだので、実大振動台実験の映像を交えながら説明します。