2025年5⽉10⽇(第3425回)
トランプ政権の政策と グローバルサウス
笹川平和財団上席フェロー 渡部 恒雄
トランプ政権2.0は劇的に米国外交を転換させている。その外交は「アメリカ・ファースト」のスローガンに基づく自国優先主義であり、同盟国を米国の軍事力にタダ乗りする存在と考えて同盟国にも関税を脅しに使い、ウクライナ停戦をめぐっては、ロシアを重視し、欧州の同盟国の役割を軽視している。トランプ政権2.0の閣僚やスタッフは、トランプ氏個人への忠誠心を軸に選出されており、トランプ政権1.0のように、既存の国際秩序の維持が米国の国益と考えて、大統領をけん制するような人物はいない。グローバルサウスにとっての懸念は、これまで経済成長を援助してきた米国の対外援助を担うUSAID(米対外援助庁)が解体され、援助プログラムも大きく削減されていることだ。これはグローバルサウスにとって大きな経済的損害になると同時に、米国と先進国の影響力が低下することになる。米国が国連の場で、ロシアのウクライナ侵略を非難せずに、ロシア寄りの投票をしたことで、米国の法の秩序や民主主義や人権における影響力も大きく低下する。本講座ではトランプ2.0政権が引き起こしている激的な国際秩序の変化について、グローバルサウスへの影響を中心に考える。
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