2026年1⽉24⽇(第3440回)
「産む・生まれる」から「育てる・育ち」へ ― 視覚に障がいのある母親と子どもの日々からみえること
神戸市看護大学看護学部 准教授 平田 恭子
障がいのある女性たちは、かつて優生保護政策のもとで「産むこと」を制限されてきました。その歴史は重く、決して忘れてはならないものです。現代においても、その影響や思想が完全に払拭されたとは言い切れない状況が残されています。
私は、ある全盲の夫婦と出産の場で出会ったことを契機に、視覚に障がいのある妊産婦へのケアを明らかにしたいと考え、多くの視覚に障がいのある子育て中の母親へのインタビュー調査を行ってきました。その中では、先述のような歴史的背景に起因する経験や、医療現場において育児能力を疑われるというやるせない経験が語られる一方で、彼女らが自らのペースと方法で育児を進め、戦略的に主体的に生きている姿も見えてきました。彼女たちの語りから、「視覚の不在」が「育児の不完全」を意味しないことを教えていただきました。
本講座では、インタビューの一部や育児場面の動画等も紹介し、皆さまにそのリアリティに触れていただきたいと考えています。最終的には、この機会を通して、老若男女を問わずご参加の皆さまそれぞれが、自らの「これまで」「今」「これから」における「産む・生まれる」「育てる・育ち」をあらためて感じ取るきかっけとなることを願っています。
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