2026年2⽉21⽇(第3441回)
えん罪被害を受けた人の生活再建 ー 無罪になれば解決するのか?
立命館大学法学部 教授 森久 智江
現在、日本では再審法の議論が国会で大きな局面を迎えつつある。袴田事件をはじめ、数多くのえん罪事件が発覚してもなお、その制度的問題性について、必ずしも十分な社会的認識が進んでいる訳ではない。よって、まずは「誤った判断によって無実の人を有罪にしてしまう」ような日本の刑事司法手続自体を変えるべきことは言うまでもない。しかし、実際にえん罪被害者となった人、誤って逮捕され、長期間にわたって身体を拘束され、有罪判決を科され、さらに刑罰を科された人に対して、「無罪」を言い渡すだけで本当にその人にとっての回復は果たされるのであろうか。いまだ十分に目を向けられているとは言えないこの問題について、犯罪学的視点からお話ししてみたい。
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