2026年6月13日(第3450回)
廃墟とノスタルジア 1980年代以降の日本における廃墟写真集を中心に
立命館大学産業社会学部 教授 住田 翔子
廃墟は、文字通り打ち捨てられた、機能を失った建物であることから、廃墟に対し否定的な印象を抱く人も少なくないでしょう。日本において街なかで廃墟を見かけることが多くなるのは1970年代以降のことですが、当初廃墟は価値のないものと考えられていました。
しかし1980年代以降、写真家たちが廃墟を訪れ写真を撮り、写真集を発表し始めます。このような「廃墟ブーム」はその後も続き、2000年代以降、より若い写真家たちが廃墟の写真集を刊行します。これら写真集をめくると、写真家にとって廃墟はまずノスタルジックな感情を喚起させるものであったと理解することができます。同時に、廃墟を写真に収めることに対する写真家の様々な表現も垣間見られます。
この講演では、雜賀雄二『軍艦島―棄てられた島の風景』(1986)、丸田祥三『棄景―廃墟への旅』(1993)、三五繭夢『廃墟ノスタルジア』(2003)、星野藍『幽玄廃墟』(2017)を中心に取り上げ、廃墟を撮影し写真集として出版することの個人的および社会・文化的背景について読み解いていきたいと思います。
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