2026年7月18日(第3452回)
専門性に基づいた「あなたの声を聴かせて」を目指して
立命館大学産業社会学部 教授 石田 賀奈子
2024年の児童福祉法改正により、子どもの権利を守るための環境を整えることが、各自治体に求められるようになりました。報告者は、「子どもの意見をきちんと聴き、尊重すること」、すなわち意見表明権の保障に着目しています。
子どもの意見表明権は、「子どもの権利に関する条約」に示された「参加する権利」の一つであり、子ども自身が自分の考えや気持ちを表明できることを意味します。近年では、児童相談所の一時保護所や児童養護施設など、社会的養護の現場で、この権利を支える取り組みが各地で進められています。
18歳までに家庭で経験する強いストレスやつらい体験は、「幼少期逆境体験(ACEs)」と呼ばれ、成人後の心身の健康に大きな影響を及ぼすことが分かってきました。児童養護施設などにつながる子どもたちは、こうしたACEsを重く経験している場合が多く、支援の緊急性や重要性がとりわけ高い子どもたちです。
しかし現在、「子どもの声を聴く」ことを担う専門性や、その担い手をどう育てるかという議論の中には、「当事者性」や「アドボカシー文化」といった言葉が先行しています。今一度、ソーシャルワークや心理的支援の専門性について検討が必要です。
社会的養護を経験した子どもが、安心を取り戻し、回復していくために必要な「声を聴く」とは、どのような専門性なのか。本講座では、その意味を改めて考えてみたいと思います。
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