2026年10月24日
文化と心「ものの見方は、文化のなかでどのように育まれるのか」 ― 多様性から複線性へ
学校法人立命館 理事 / 副総長 立命館大学 副学長 / 総合心理学部 教授 サトウ タツヤ
私たちは、世界をそのまま見ているわけではありません。ヒトという種には錯覚や錯視をひきおこすメカニズムがあります。それに加え、一人ひとりが、文化(言葉や人との関わりかた)のなかで育まれた「ものの見方」を通して世界を理解しています。その見方は私たちの生活を支え、素早い判断や他者との協力を可能にする一方で、思い込みや偏見、対立を生み出すこともあります。私たちは「自分と違うことをする人」から距離をとりがちですが、その背景には、文化に育まれたものの見方の影響があるかもしれません。
では、違いは対立をもたらすしかないのでしょうか。本講演では、文化心理学の視点から、ものの見方がどのように形づくられ、受け継がれていくのかを考えます。そして、「自分と違う人」を捉え直す複線性という考え方を紹介します。多様性を認めることは重要ですが、一歩進んで、「同じ目的」に向かって「別の生き方」をしている人、あるいは、「自分とは別の径路を歩む人」だと捉える複線性こそが重要です。共通の価値や目標を見据えながら異なる径路を歩む人 を尊重することこそが、新しい他者理解をもたらし、紛争や争いを無くすのではないでしょうか。
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