2007年1月20日 (第2800回)
女性のライフサイクルをめぐって
応用人間科学 研究科教授 村本 邦子
エリクソンは生涯発達論を唱え、人生を①信頼:不信 ②自律性:恥・疑惑 ③自発性:罪悪感 ④勤勉性:劣等感 ⑤アイデンティティ・アイデンティティ拡散 ⑥親密性:孤立 ⑦世代性:停滞性 ⑧統合性:絶望の八段階に分けた。
他方、女性心理学者たちは、エリクソンの発達理論が分離個体化を基軸にした男性中心の理論であることを批判し、女性にとっては個の確立よりも関係性が優先すると指摘した。
筆者は、成人女性の発達課題を、①自己の確立(アイデンティティの形成と変容) ②他者との関係性(親密な関係に自己を啓き変容を受け入れることができる)③公的領域への奉仕(ケアによって次世代を育成し、未来に希望をつなぐ) ④統合(未来に希望を持って、個としての死を受け入れる)で捉え、これは、実は男性にも共通するものであると考える。
フロイトは、成人が健康に生きるために「仕事と愛」が必要であると言ったが、女性のライフサイクルを捉えなおすことで、新しいライフサイクル論について考えてみたい。