2007年1月27日 (第2801回)

カウンセリングの人間関係 ―人が人を援助することの基底にあるもの―

応用人間科学 研究科教授 徳田 完二

 カウンセリングとは

 心の問題を扱うカウンセリングというのは実際にどのようなものか。これは、一般にはそれほど知られていないように思われます。

 新聞や雑誌でときおり見かける「相談コーナー」の類があります。また、テレビやラジオの番組でも、視聴者からの相談に専門家が応じるようなコーナーを見聞きすることがあります。カウンセリングはこれらに近いものと考えている人が少なからずいるようですが、しかし、実際は全然違います。

 新聞や雑誌、ラジオやテレビの「相談コーナー」では、読者や視聴者から寄せられた相談に対して、「回答者」が自分の考えに沿って一定の意見なり助言なりを伝えるのが通例ですが、実際のカウンセリングにおいて、カウンセラーは決して「回答者」ではありませんし、助言を与えることが主たる役割ではありません。カウンセラーの役割は、何かを言うことよりもむしろ相手の話を聴くことです。

 では、助言をするよりも相手の話を聴くことがなぜ相手の役に立つのでしょうか。それは、土曜講座でゆっくりお話ししようと思います。