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■「後方支援スタッフ派遣」第9便 活動報告

災害復興支援室では、中長期的支援が求められる東北の被災地へ学生を継続的に派遣する企画
「後方支援スタッフ派遣」を、サービスラーニングとは異なる位置づけで実施中です。
今回は、宮古市災害ボランティアセンターからの派遣による被災した海岸の清掃、および仮設
住宅内集会所での傾聴活動等に参加しました。

【第9便の概要】
参加人数:学生14名、引率職員4名
日  程:2012年6月14日(木)から6月19日(火)
宿泊場所:宮古市災害ボランティアセンター・生活復興支援センター ボランティア宿泊スペース
活動場所:宮古市内 応急仮設住宅、集会所内集会所等
活動内容:津波防災学習会参加、被災した海岸の清掃、支援関係者との交流、仮設住宅生活支援の補助

<スケジュール>
6/14(木) 夜 京都駅出発
6/15(金) 岩手県宮古市へ、田老地区の津波被害説明「学ぶ防災」に参加
6/16(土) 海岸清掃(宮古市高浜)、写真修復作業の見学、支援関係者との交流
6/17(日) 仮設住宅集会所への生活支援(傾聴活動)のサポート
6/18(月) 宿舎清掃、観光(宮城県・松島)、帰路
6/19(火) 朝 京都駅着(解散)

<参加学生のコメント(終了後のアンケートより一部抜粋)>
 
■「復興」の背景にある地元の方々の思いに触れて
最も印象的だったのは、傾聴活動の時に、1人のおばあさんが3月11日のことを話してくれた
ことです。おばあさんは津波が来た時に走って逃げていたら、地理を熟知している人の車に
偶然乗せてもらうことができ避難できたこと、しかし義理の妹さんは津波に巻き込まれて
しまったこと、「なんで、どうして、妹だったのだろう」と今も考えてしまう、などのお話を
聞くことができました。
今までは震災に関する映像を見たり、文献を読んだりするだけでは、自分が実際に被災した
わけではないため、どこか他人事のような気がしてしまい、さらにそういう話などに感情移入
して、心を痛める行動は失礼というか違和感のようなものを感じていました。しかし、お話し
てくれるなら、伝えたいという人がいるなら、そのお話を全力で聞き、考え、現地へ行ったり
することも誰かのために大切なことなのではないかと感じるようになりました。
また、お年寄りの方のお話で、震災後に子どもが住む都会に避難したが、都会の生活に慣れず
戻ってきたという話から、仮設住宅の暮らしや、余震があることなどの生活の不便さよりも、
故郷で暮らすことが大切だという気持ちを知り、被災された方々にとって「故郷が復興する」
ことの重要な意味も知りました。
<政策科学部・2回生>

■百聞は一見にしかず
たろう観光ホテルの松本社長、およびに宮古観光協会の語り部さんのお話、一緒に活動した
ボランティアや、現地で交流した支援関係者の方のお話、宮古市社協で働く方や、仮設で暮らす
方の話。すべてが印象的でした。
この後方支援に参加して、被災された地域への考え方がかなり変わりました。ほかの地域から
駆け付けた方、地元の方ももちろん頑張って復興に向かっていた、と感じました。そして僕も
その一員になりたいと思います。
今回の活動を通じ、被災地に対する考え方が大きく変わりました。関西にいるだけではわか
らない被災された人の考え方がより身近に感じられたのではないかなと思います。
百聞は一見に如かずと言いますが本当にその通りだなと思いました。
<理工学部・4回生>

■自分が動かなければ。もっと動きたい。
活動を通して最も印象的だったことは、現地で聞いた「がれきは、がれきじゃない」という言葉
です。現地に到着してバスの中から積み上げられているがれきを遠目に見たとき私は当初、これ
がニュースで言ってるやつだ、位にしか思っていなかった。しかし、がれきの近くをバスが通った時
バスルームのタイルや子供のおもちゃが見え、がれきのひとつひとつが誰かの大切な財産だった
ことが初めて実感できた。このような経験はテレビや新聞を通じてでは絶対にできなかったと思う。
自分の中で大きく変化したことは、これまで第三者的な目線で震災を見ていたが、実際に現地に行く
ことで他人事ではない!!自分が動かなければ!!もっともっと動きたい!!と強く思えたことで
ある。人の記憶の忘却は恐ろしく早いからこそ、自分たちのようなこれから未来を背負っていく人
たちがもっと復興に取り組んでいかなければいけないと思った。
<法学部・2回生>


*引率職員より
参加学生は、移動中など大学生らしい屈託のない振る舞いを見せることもある一方で、活動に対し
非常に真摯に取り組んでいた。活動を通して、「答えのない問い」にぶち当たることもあるが、
それに取り組むことことに非常に大きな意味を感じた。
基本的な軸足は引率者としての立場に置きつつも、海岸清掃や傾聴活動においては一人のスタッフ
として参加させて頂く機会を得た。子を持つ親の立場としてなど、活動を通して自分自身の中でも
様々な感情が沸き起こってくることもあった。今できる後方支援活動の一つである「発信すること」
に対する取り組みとして、帰宅後に子供が通学する小学校に数枚の現地の写真を提供した。
今後は、保育園での避難訓練に役立てて頂けるような情報提供を予定している。
<人事課 職員>

学生たちと一緒に約6日間過ごし、学生たちの考え方や感覚、感受性の豊かさを改めて感じた。
被災地の皆さんの話を聴き、涙を流し、真剣に活動に取り組む学生の姿をみて、大学生という年代に
どういった気づきや学びの機会を提供するかによって、学生の可能性を伸ばし、彼らの人生に強い
影響を与えることを感じた。
東日本大震災に関する報道が減っていく中、学生たちの被災地への関心は非常に強いことがわかった。
マスコミの露出が低いからこそ、現地の様子、被災者の皆さんの想いへの関心が高まっている様子で
あった。
<広報課 職員>