Reportレポート・参加者の声

「3.11 追悼企画 いのちのつどい」を開催しました

 39日(土)13時から立命館大学国際平和ミュージアム「中野記念ホール」において、「3.11 追悼企画 いのちのつどい」を開催しました(参加者44名)。

 丹波史紀副室長(産業社会学部教授)の司会進行で開会し、はじめに主催者である立命館災害復興支援室を所管する学校法人立命館を代表して、仲谷善雄総長が挨拶を行いました。続いて、第一部の講演会となり、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の伊藤礼樹駐日代表から「避難はいつ終わる-東日本大震災とシリア危機から考える-」というテーマでご講演いただきました。講演の中で伊藤駐日代表は、「東日本大震災による避難生活とシリアでの内戦に伴う避難生活とは、発生原因は違うものの、『転々と繰り返される避難生活』、『家族の離散』、『ホストコミュニティとの軋轢』等、共通点が多い」と指摘され、「いわれのない中傷を受けないようにするためにも、避難民への支援だけでなく、ホストコミュニティへの支援が重要となる」との知見を述べられました。また、講演後に行われた宗本晋作室長との対談では、「東日本大震災の被災者の場合は、避難生活が長期にわたると、元居た場所に帰れなくなる傾向があるが、シリアなど海外の場合はどうか」との問いに対し、「ホストコミュニティと避難民とでは、被災地の状況理解に差異があり(ときにそれが中傷被害につながる)、一見内戦が落ち着いているようでも実状は危険度が高く、帰りたくても帰れないケースが多い。『避難の終わり』は当事者が決めるべきだと考える。そして決断に際しては生活権の保護や女性、子ども、高齢者等への考慮も重要となる。避難生活は長期にわたることが少なくなく、そのためにもホストコミュニティへの支援が必要となる」と述べられました。最後に、避難民が現地で行政サービスを受けられるようにすることの重要性にも触れ、「世界最大の避難民受け入れ国であるイランでは、アフガニスタンからの避難民の子どもたちを全て学校に通わせている」との事例を紹介されました。

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 休憩を挟んで行われた第二部のパネルディスカッションは、「ヒロシマ・ナガサキ・ビキニ・フクシマ伝言館」の早川千枝子館長代理と丹治杉江事務局長をパネリストに、立命館大学国際平和ミュージアムの安齋育郎名誉館長をコーディネーターにお迎えし、「福島・原発被災地の今を語る」というテーマで行われました。冒頭に同伝言館が、福島県双葉郡楢葉町の古刹宝鏡寺境内に開設された経緯について、安齋名誉館長から紹介がありました。続いて、同寺の故早川篤雄住職のご令室である早川館長代理から、故早川住職が、福島原発が建設を検討され始めた段階より、その安全性に疑問を投げかけ、2005年からは津波により非常用電源が機能しなくなることのリスクへの対応を東京電力に訴え続けてきたが、聞き入れられず、結果「3.11」を迎えてしまったこと等を踏まえ、2021311日に「原発悔恨・伝言の碑」とともに、同伝言館を開設した旨、詳細なエピソードを交えながらご説明されました。最後に、同伝言館の丹治事務局長から、東日本大震災被災体験の紹介がありました。そして福島原発が地震と津波の影響で停止していたにも関わらず、屋内に入ってスイッチを入れると電気が点いたことに触れ、「福島県は東北電力が発電した電気を利用しており、福島原発が発電した電気を1Wも利用していない。リスクだけを負わされている理不尽さに憤りを感じた」と述べられました。そして、「その経験が現在に至る脱原発活動の原点になっている」と括られました。

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*東日本大震災発災時間である1446分には、全員で黙祷を捧げました。

 

3.11いのちのつどい」について

立命館災害復興支援室では、震災で犠牲となった方々の鎮魂と被災地の復興を願って毎年「3.11いのちのつどい」を開催しています。追悼と併せて、様々な震災への向き合い方を考える機会としています。