「令和6年能登半島地震における災害救援ボランティア報告会・懇談会」を開催しました
【山口センター長からの呼びかけ】
続いて発災当初の動きについて山口センター長は、「サービスラーニングセンターではボランティアの参加を考えている学生に向けて、1月10日にzoomミーティングで知恵絞り会を開催し、1月31日にLINEのオープンチャットを用いたネットワーキングを始め、2月29日にはそれぞれの志に沿った活動スタイルの選択を促す呼びかけを行った」と発災以降の動きを紹介した上で、「1月末から七尾市田鶴浜地区での支援活動を開始した。また、Facebookで『能登ボランティア駅伝プロジェクト』のページを立ち上げ、学生たちが思いのバトンをリレーするように、複数の大学間連携のもとで避難所運営を補助した」と紹介されました。
「3月、5月には輪島市町野町地区にて、ソ教連の呼びかけで、全国の大学生たちがボランティア活動に参加し、主に家財道具の運び出しを協力して行った。1月以降からの七尾市田鶴浜地区での経験を踏まえ、繋がって連携して取り組むということが大切である」と述べられました。
【「いばらき×立命館DAY2024」の取り組み】
「5月19日に行われた『いばらき×立命館DAY2024』(集客数約23,000人)にて、災害復興支援室が主催者となり、令和6年能登半島地震復興応援チャリティーブースを出店し、被災地物産の販売、募金活動の実施、現地支援活動を経験している学生の活動報告を行った。当日の販売収益と募金で計約65,000円が集まり、『石川県令和6年能登半島地震災害義援金』に送金することができた」と述べられました。
【参加した学生の声】
その後、学生7名による被災地での各自の資料等を用いて活動報告を行いました。
学生ボランティアならではの出会いが多く、社会福祉の観点から被害状況について考えることができた。
5日間の滞在かつ単発の関わりでは難しいかもしれないが、若者たちだからこそできる活動を行い、被災地の方々が元気になる企画等がもっとできたのではないか、と感じている。ボランティアとしての自主性の高さを生かしきれなかった部分があったのではないか、と思うところがある。
主に家の中のものを運び出して、トラックに乗せて運び出すという作業をした。
被害が甚大な町の景観にばかりつい目を奪われがちだが、そこで暮らしていこうとする人のメンタル、身体的なケアが何よりも大切であると感じた。
2016年の平成28年熊本地震のときは中学生で具体的な活動ができなかった。今回、現地の避難所が移動する前の体育館でのボランティアや、福岡県のお餅屋さんと協力して商品を作って販売し、その売り上げを被災地へ寄付したり、立命館アジア太平洋大学(APU)の入学式で募金活動を行った。その後、4月に発生した台湾の花蓮地震でも別府を拠点に新たな支援活動を展開している。
体育館で活動しているプロバスケットボールチームの方々と炊き出しのお手伝い、避難所の棚づくりをきっかけに、日常的なコミュニケーションができた。ボランティアと通して自分にもできることがあると気付くことができ、周りの人たちに自分の活動体験を伝えることも、被災地支援の一つになるのではないかと思っている。
家の中のものを運び出す手伝いをしているなかで、被災地の方々は、目の前で何を優先して運び出すのか、なかなか決断できずにいることもあった。支援に来たことで思い出の選択を早めてしまったかもしれないし、次の一歩に繋がっているかもしれない。そういった場に立ち合ったことで、復興とは何かを考えさせられる経験となった。
活動参加のきっかけは、報道と現実に乖離があるのでは、という関心だった。自分が思っているよりも復興が進んでおらず、報道も日に日に減っていると感じ、伝えるためにYouTube動画を作成した。再生回数は7月初旬で5,000回を越え、「おすすめ動画」として紹介されることも増えている。動画では被災地の現状に加え、ボランティアの具体的な一日の流れなどを盛り込んだので、ボランティアに行く人が増えるきっかけになることを願っている。
地震から4ヶ月が経った現地に訪れた際の第一印象は、思っていたよりもライフラインが回復していないということだった。報道をそのまま受け取るのではなく、活動に参加して実際の情報を知るということが大事だと学んだ。
現地では公費解体のために家財道具を運び出す活動をした。被災された家族だけでは、家財道具などを運び出すのはとても大変で、ボランティアを通して自分が人の役に立ったと実感できた。
【意見交換】
続いて、今後の支援についての意見交換が行われました。
いわゆる、秩序化・ルール重視といった部分で、災害関連死を防ぐためでもある。
ボランティアが大勢行くと、現地が混乱するという根拠不明の言説が広まり、被災地に迷惑がかからないように、ボランティアを管理しなければならないという側面が無いわけではないが、一人一人が名前やニックネームで気軽に呼び合えるような関係性を築き、支援される側と支援する側の関係をいい意味で崩すことができると、混乱を避けられるのではないか。
・被災地支援に行くと、教員よりも学生のほうが現地の方々と仲良くなれる。体力的な面もあるが、災害ボランティアに学生を起用する必要性があると感じ、お互いに支援される、支援するという関係性ではなく、お互いに得るものがある。自分たちの身の丈に合わせた活動を見つけ出し、自分たちがやれることを現地の方へ提供することで学生のモチベーションに繋がり、良い関係が生まれるのではないか。
・活動をしているなかで困っていることとして、被災地での出店等の活動をメディアに取り上げられる機会があった時に、理解してもらえなかったり、多少批判されることもある。取り組みを続けていくことは難しいが、継続的な仲間づくりを広げていくことが、効果的ではないだろうか。
最後は災害復興支援室室長の宗本晋作・立命館大学理工学部建築都市デザイン学科教授より、学生への激励ならびに感謝の言葉かけで締め括られました。