福島県双葉町伊澤史朗町長をお迎えし、
「チャレンジ、ふくしま塾。」の学習会が開催されました!
7月9日(土)午後1時より、「チャレンジ、ふくしま塾。」の学習会が開催されました。福島県双葉町から伊澤史朗町長をお招きし、本学に籍を置く塾生とともに、東京大学と福島大学の学生を含めた約30名が参加しました。
双葉町はいまだに町の95%が「帰還困難区域」に指定されており、全国唯一、全町避難が継続されている区域です。現在に至るまで、町民全員が避難生活を強いられています。双葉町は環境省の「快水浴場百選」にも選ばれた双葉海水浴場や、丹精こめて育てられたバラ650種類、1万本が咲きそろう双葉バラ園など、数多くの魅力を有していたそうです。それが、世界に例のない地震、津波、原子力災害による複合災害に見舞われたのです。
震災後、住民はバラバラになり、町の役場機能も埼玉県に移していました。当時町議だった伊澤町長は「絶対に帰還する、新しい町を創る」との強い想いから町長に立候補し、多くの支持を得て当選しました。
講義を通じて、避難指示解除に向けた取り組みは並々ならぬものであることが分かりました。被災後直後から壮絶で予期せぬ対応や交渉に追われてきました。しかし今は、他の区域が避難指示を解除され復興していく中、もう復興のための支援は十分に行われたとする空気感が双葉町の復興の足かせとなっています。双葉町の復興事業はこれから本格的に取り組む状況であり、これからの問題なのです。
町では復興まちづくり計画を策定し、避難指示が解除された日のための準備を進めています。帰還希望者や移住者が新たな生活を始めやすい環境を確保した「まちづくり」や、農業の再生と振興、企業誘致といった「なりわいづくり」、また、車に頼らない交通網の整備など、再現ではなく、既存のまちを残しながらも新たにまちを創出する斬新な構想です。特に、伊澤町長が力を込めて説明されていたのは、「双葉町の農産物は安全だ」ということでした。双葉町や福島県では徹底した放射能検査が行われており、問題がないことが実証されています。他の検査を実施していない地域よりも安全性が保障されているのです。
質疑応答では、「原発事故が起こっている反面、電力不足が問題となっている中、原発が必要かどうか」、「新しいまちづくりの中で町長が考える双葉町らしさとは何か」など、参加した学生から熱心な質問があがりました。伊澤町長はその一つひとつに丁寧に答えてくださいました。
講義は質疑応答も含め約90分でしたが、被災地の現状や捉え方は私たちが思い込んでいたものと大きな隔たりがあり、実際の多くがそうでないことに気づかされました。何よりも伊澤町長をはじめとする被災地の人々が逞しく、そして明るく前向きであることに驚かされた時間でした。
2022年度の塾生たちが何を発見し、どのように成長していくのか。「チャレンジ、ふくしま塾。」のこれからが楽しみです。
(双葉町 伊澤史朗町長)
(講義の様子)
(質疑応答に答える伊澤町長)