学部長メッセージ
Koji AMANO 天野 耕二
立命館大学 食マネジメント学部長

「食の全てを通して学んだ」
唯一無二の人材が世界に羽ばたきます
食マネジメント学部は、食の成り立ちの源である自然生態系、人類の歴史や地理、食ビジネスを支えるグローバル経済といった俯瞰的な視点から、食品が提供する栄養や健康、食のおいしさがもたらす幸せなど身近な視点まで、食の全てを通して総合的に学ぶ学部です。
食マネジメント学部では、社会科学としての経済学・経営学(マネジメント領域)をベースとし、人文科学に関する学び(カルチャー領域)と自然科学系の一部(テクノロジー領域)を合わせた三つの領域を通して、食科学(Gastronomic Arts and Sciences)という学問を複眼的な視野から究めていきます。食の背景にあるいろいろな物語を知ろうとする好奇心「世界をおいしく、おもしろく」が学びの原点です。
食マネジメント学部の英語名称は、College of Gastronomy Managementです。18~19世紀フランスの法律家・政治家であり、食通として知られるブリア=サヴァランは、食を通して、個人だけでなく、国家・国民のことも見えてくると説き、ガストロノミー(Gastronomy)とは、「ものを食べる存在である人間に関わるあらゆる知識を、体系的に理論づけたもの」と定義しています。
マネジメント(Management)は、ビジネスの世界で「経営管理」や「組織運営」などを意味する用語ですが、食マネジメント(Gastronomy Management)では「食という大切な営みにおいて広い視点で多彩な人たちを活かして社会に貢献する」という意味でとらえることができます。食料の供給や消費といったモノとしてのマネジメントだけではなく、例えば、色や形、味といった食品の物質的な特徴に加え、見せ方や売り方の工夫、物語性を持たせるなど、フードデザインという概念を用いる事で、新しい食のビジネスモデルを統合的にマネジメントしていくことなどが新しい「おいしく、おもしろく」につながります。
このような食マネジメントの学びにおいては、文献や統計データなどから得られる情報だけではなく、現場での体験、それも国内外の広範なフィールドでの行動体験が肝になります。食マネジメント学部のカリキュラムは、食に係る学問領域を関連付けて学びながら、人と人とのコミュニケーションと協働を体験し、課題解決のための実践と発信にチャレンジする、受け身ではない、アクティブな学びのサイクルが特徴になっています。食ビジネスの真っただ中で活躍している多彩な講師が食を取り巻く現実の課題を取り上げる授業での熱いディスカッション、また、国内および海外の食の現場に実際に出かけて行って、現場での体験を通して実践的な行動力を高める実習を行う課題解決型学習科目などが高度なマネジメント力の源泉です。
マネジメント力を高め、人間理解、異文化理解といった姿勢を持ち、多文化共生という感覚を持ちながら、社会的に必要とされていることに対し、自ら行動を始め、積極的に新しいことに取り組んでいくという、食マネジメント学部での学びを活かせるキャリア・将来の進路は、食が中心となっている業種業界だけではありません。食に関する総合的な知識を持っている強み、食を通して磨ぎあげた高いマネジメント力を使って活躍できる世界は大きく広がっています。
食マネジメント学部の最大の強みは、食の全てを通して学ぶ環境としての極めて豊かな多様性にあります。学部の授業を担当している教員の専門領域は、「ありえないほどの」バリエーションを誇りますし、学生のみなさん一人一人の学びにおける指向や将来展望においても、「ありえないほどの」多様性を確信しています。「食の全てを通して学んだ」唯一無二の人材として社会の様々な分野で「全てを通して学んだ」経験と自信が間違いなく活かされます。また、「全てを通して学ぶ」実感を得ることそのものが様々な分野でいろいろな人たちを繋げるマネジメント力を磨いているという、これまでどこにもなかった新しい学びのスタイルを生み出しているところに食マネジメント学部の立ち位置があります。
天野 耕二 立命館大学 食マネジメント学部長