教員紹介

Minako TATSUMI 巽 美奈子 准教授
- 専門分野社会学 社会史 (栄養、調理実践、女性、社会階層とジェンダー)
- 所属学会日本社会学会 関西社会学会 奈良女子大学社会学研究会(役員)
科学社会学会 現代風俗研究会
これまでの研究の概要
【近代日本の栄養受容論】 戦前日本の栄養学の誕生と栄養をめぐるレシピに着目した社会史研究です。栄養学が家庭料理や集団給食にいかに介入したのか、また受け手である人びとの反発や抵抗、受容を、言説と調理実践、食物を媒介した相互行為から捉える研究を行ってきました。 研究方法としての独自性はレシピから過去の調理実践を描くことです。戦前に始まった栄養学的な食事実践がどのような目的や結果を人びとにもたらすものであったのか、当時の栄養学の知見、歴史的背景ともすりあわせ検討することで明らかにしました。 このような調理実践の読み解きから戦前における栄養学の受容を捉え、さらにそのプロセスから社会階層差やジェンダー構造を論じました。
食マネジメント学部における今後の研究の方向性
社会史的研究としては、40年代以降の栄養の普及プロセスを昔の家庭料理や学校給食、工場給食などをテーマに、関係者へのインタビューなども行いつつ明らかにしたい。フーコーの「主体」概念と、栄養との関係について考えたいと思っています。 日本における「食の社会学」の検討とディシプリン構築を目指しています。 今後は、ジェンダー・社会階層の視点から、食を捉え直してみたいと思っています。研究テーマはヴィーガンやファスティングなどにみる健康志向的な食事実践について。
主な研究業績
- 巽美奈子、2025年「戦前日本の婦人向け料理雑誌にみる栄養学の受容プロセス――男性中心の「料理文化」と家庭料理の「栄養」――」『社会学評論』300号
- 巽美奈子、2024年「戦前日本の女性栄養士が抱えるジレンマと使命感」『現代風俗学研究』24号:71-80
- 巽美奈子、2022年「近代日本における栄養思想の普及のプロセス:佐伯矩の食事介入と女性たちの反発」『現代思想』50巻2月号:144-154、青土社