教員紹介

保田 幸子

Sachiko YASUDA 保田 幸子 准教授

  • 専門分野倫理学・平等論・福利論
  • 所属学会日本倫理学会・応用哲学会・日本法哲学会

これまでの研究の概要

政治哲学における分配的正義論を専門とし、分配尺度・運平等主義・分配理念(平等主義・優先主義・十分主義)の三領域にわたる体系的研究を行ってきました。こうした理論研究を背景に、社会保障や医療資源配分など実践的課題への規範的分析も進めてきました。また、実験倫理学的手法を取り入れ、規範理論の実証的検討も行っています。平等論と福利論という二つの領域に通底するのは、価値の不連続性への着目です。価値の不連続性は、J・S・ミルの快楽の質的差異論をはじめ、価値論において古くから問われてきた問題であり、規範理論の広範な領域に関わります。この問いに取り組むことが、現在の主要な研究課題となっています。

食マネジメント学部における今後の研究の方向性

価値の不連続性という問いは、福利論においてとりわけ鮮明に現れます。とりわけ注目しているのは、ill-beingの独立性です。ill-beingはwell-beingの単なる欠如ではなく、固有の構成要素を持つと考えます。理論研究と実証的アプローチの双方からこの問いに向き合うとともに、培養肉や昆虫食への嫌悪感など、食の領域への応用も視野に入れています。

主な研究業績

  • Saito, T., Ishibashi, A., Lyu, Z., Xie, Z., Yasuda, S., & Takikawa, H. (2026). Evaluating others’ well-being: Survey experiment on fictional Japanese celebrities generated from wikipedia articles and ChatGPT. Plos one, 21(3), e0340627.
  • 保田幸子(2023) 「若年者の治療を優先するべきか? ― パンデミック下でのフェア・イニングス論の検討」 『CBEL Report』 6(1), pp. 29-44.
  • 保田幸子 (2022) 「十分主義は不平等を容認するのか——無関心批判への応答」 『法哲学年報 2021』 , pp. 202-212.