博士課程後期課程
3回生

YAN Xiuyan
(ゲン ショウエン)さん

在学生

MESSAGE

日韓消費者行動の研究で学会賞受賞。
日本の大学で教員になりたい。

日韓消費者のボイコット運動をテーマに比較分析

私の研究テーマは「予測しない消費者のボイコット運動に直面したグローバル企業はそれをどう制御するのか」です。中心となるのは、2019年に韓国と日本の消費者が互いの国の製品をボイコットした問題。私は中国の朝鮮民族で日中韓の三か国語ができますし、それぞれの文化にも興味があります。消費者の行動について日韓両国でどのような違いがあるのか、この問題をテーマに比較分析してみたいと思ったのです。
日本と韓国、それぞれ500名以上の消費者に、相手国、相手国の企業、その製品、ボイコットへの感情などを細かく質問し、データを収集していきました。データを見てすぐにわかったのは、韓国の消費者がボイコット運動に参加する理由は、韓国に対しての強硬な政策に疑問を抱いているためであり、日本文化や日本人が嫌いなのではないということです。ボイコット運動はしても日本や日本の文化は好き。それがすぐにわかったのがとても興味深いと感じました。

予想とは逆の結果を理論で裏づけて、博士論文へ

最近の論文では、「ボイコット意図」に、他に選択肢があるなど相手国の特定商品をボイコットしても困らない程度「行動統制可能性」が与える影響について、「消費者本人の態度」と「主観的規範」を加えた4つの変数を用いて分析しました。「主観的規範」とは、ボイコットに参加する時に周囲から受ける圧力、例えば愛国に関わるボイコットに参加しない時の、周りの人からの目線やストレスなどのことです。
分析の結果、「行動統制可能性」が高い状況では、両国ともに「消費者本人の態度」が強い時に「ボイコット意図」は強まりました。一方、予想に反して、「主観的規範」は「行動統制可能性」と「ボイコット意図」の関係を強める原因でないことが、両国のデータから分かりました。特に日本では、周囲の圧力が高くなればなるほどボイコットに参加をしなくなる、つまり圧力が逆効果になるという有意な結果が出たのです。K-popやK-dramaなど韓国の文化を好む日本人は、自分が好きなものに対して周囲から批判を感じると、逆に自分の意見を守るために韓国製品を買おうとするということがわかりました。この研究は、国際マーケティング分野での新規性のある発見として、韓国で開催された国際学会で賞もいただきました。
現在は、なぜ日本では逆効果だったのかについて解釈する理論を探しています。社会学や文化人類学などの知見も取り入れながら自分なりの理論を構築し、博士論文につなげたいと考えています。

OICのここが好き!

研究室の居心地はとてもいいです。各階におしゃれなチェアやソファがあるのも素敵ですよね。語学を勉強したい人には言語習得センター(CLA)がおすすめです。レベルに合わせてたくさんの講座があって、キャンパス内で受講できるのも便利。大学院生なら受講料が無料になる補助もあります。私も英語のスキルを上げたくて、IELTSテスト対策講座を受講しました。留学生や外国人の先生方と話ができるBeyond Borders Plaza(BBP)があるのもいいですね。

立命館は、大学院生への経済的支援が手厚い

私は中国の大学を卒業してから日本で日本語を学び、日本の大学を受験しました。第一志望は東京の大学だったのですが、今は立命館に来て本当に良かったと思っています。国立大学をはじめ、さまざまな日本の大学に通う友人に聞いても、大学院生への経済的な支援が最も手厚いのが立命館だからです。
指導教授は韓国人の金昌柱先生。外国人留学生の気持ちをとてもよく理解してくださる先生です。論文を書く際も自分の強みと弱みを考えるよう指導を受けました。より多くの人に読んでもらえるよう英語での論文執筆や学会発表をすすめてくださったのも金先生です。博士課程後期課程修了後は、私も日本の大学の教員になりたいと考えています。
私はもともとマニュアル化されている安定的な環境が大好きでした。日本に来たのも自分の性格に合うと考えたからです。カフェのアルバイトでも、みんな余計な作業だとわかっていながらマニュアルに従う。だからミスが少なくとてもいいと思います。こうした文化があるからこそ、日本は安定した社会を維持できているのだと考えています。

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