博士課程後期課程
1回生
ZHANG Xueying
(チョウ セツエイ)さん
在学生
「自分を変革させる価値」を
戦略的に提供できるフレームを作る。
「変わりたい」顧客との持続的な関係で価値を生み出す
私の研究テーマは、「変わりたい」と願う顧客と、それをガイドする企業が、持続的な関係性を維持することによって生みだされる「変革価値」というマーケティングの概念に関するものです。情報化社会に生きる顧客が次に求めるものとして「自分自身が変わっていくことの価値」に着目し、それをどのように提供できるのかについて、デザインマネジメントの視点から整理してフレームを作り出そうと考えています。
変革価値を提供するビジネスとは、わかりやすい例で言えば教育機関、スポーツクラブ、化粧品店、そして私はパーツ販売店といったDIYに関わる店などもふくまれると考えています。修士論文では、これらの企業の事例分析を行うとともに、「変わりたい」顧客へのインタビュー調査を通して、彼らにはどのような特徴があり、どのようなプロセスで変わっていくのかを分析しました。企業がより効果的な変革価値を提供するための「戦略的変革価値モジュール」について、初歩的な検討ができたと考えています。
伝統的なマーケティングに大きな違和感を持っていた
私がこの研究を始めたのは、伝統的なマーケティングに大きな違和感があったからです。企業が顧客に提供する価値は、ものからサービス、さらには経験へと変化してきました。しかし自由に情報を交換できるデジタル時代の顧客は、旅行先などでの一度きりの「経験」ではもう物足りなくなっています。また、今までのマーケティング戦略は、顧客をより合理的、ロジカルな存在と認識しているので、実際にはわがままで感性的な存在である顧客に価値を提供できていないと感じていました。そんな時、DIYの人気が高まっていることを知り、自分の手で新しいものを生み出すことは新しい自分に出会うことであり、変革価値の一つの形ではないかと考えるようになったのです。
実は、変革価値の概念を提唱した研究者自身は、変革価値を提供できる企業はまだ少ないと述べていました。しかし私は、マーケティングではなく、デザインマネジメントの視点からより広く解釈すれば、多くの企業で応用できるのではないかと考えています。博士課程後期課程では「戦略的変革価値モジュール」の実用性を検証することを目指し、まずは評価指標の開発から取り組んでいきたいと考えています。
勇気を持って踏み出した研究への一歩私たちが最後までサポートします
私は中国の高校を卒業後、立命館大学経営学部に入学し、大学院に進学しました。研究の世界に入る自信はなかったのですが、たとえつまずいてもすぐに助けてくださる先生方がおられるので挑戦しようと思ったのです。今は進学して本当に良かったと思っています。研究のプロセスの中では苦痛を感じることも多いのですが、研究そのものは本当に楽しく、研究の話になると話が止まらなくなる先生方の様子を見て、私もその輪の中に早く入りたいと思うようになりました。
今、大学院生の自治組織である院生協議会の会長も務めています。新入学の留学生に対して個人的に生活や研究のサポートをしていたからです。個人では手が回らないことも組織でなら対応できます。不安もあるかもしれませんが、私たちがサポートしますし、何より先生方がきっと自信を与えてくださると思います。安心して研究の第一歩を踏み出してほしいです。
OICのここが好き!
研究環境にうるさい私ですが、OICの研究環境は最高です。インテリアやライトなどにこだわっているためリラックスして研究できますし、アイデア出しにはホワイトボードがある教室もたくさんあり、創造力が発揮できます。キャンパス内のカフェもあるので、疲れたときはキャラメルソースをたくさん追加した甘いドリンクを飲めるのもいいですね。
一番気に入っているのは4階にあるソファ。学部時代に友達と一緒にレポートを書いていた思い出深い場所で、今もたまにそこで当時の友達と近況報告をし合っています。先生のオフィスも素敵なので、私もいつか大学に自分のオフィスを持ちたいなと思っています。