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2020年4月24日、本学客員教授の岡本行夫先生が、新型コロナウイルスによる肺炎でご急逝されました。ご訃報を受けて、岡本先生にお世話になった本学関係者は、深い悲しみに包まれました。

岡本先生は、2005年度から講演会・ゼミナールを通じて、学生たちに対して国際社会で活躍するためには、自らのプラットフォーム(座標軸)をしっかり作り上げて、多様性を受け止め、それを理解して、一致点を見出すことが重要であると訴えてこられました。このような教えは、折に触れて言及された日中関係や、日韓関係の問題を議論する場においても示され、歴史をしっかり学び、相手の意見に真摯に耳を傾けて、自分たちの世代では解決出来なかった、両国との関係改善を実現して欲しいと、若者たちに熱く語り掛けてこられました。

また、徹底した「現場主義」を掲げて、語学力を磨くとともに、自らの五感で世界に触れることの重要性を訴えてこられました。そして、ご自身で奨学金を創設され、アフリカや中東、インド、中国、韓国、アメリカなどに受講生を派遣する「海外研修プログラム」にも取り組まれました。更に、東京でゼミナールを開催し、国内外の著名な講師陣による講演会と、受講生を先生のご自宅に招いての懇談会を実施され、学生の成長を何よりも第一に考えてくださいました。これら取り組みを通じて、受講生には自らの意思で能動的に活動できる「プロアクト型」人材となるように指導されてこられました。

岡本先生にご指導いただいた学生は、これまで400名余りに及び、彼らは、現在外務省をはじめとした中央省庁、地方自治体、NGO・NPOを含む国際開発・援助団体、国内外のグローバル企業、起業家など多方面で活躍しています。これら修了生にとって、岡本先生から受けたご薫陶は、未来を切り拓く道しるべとなっています。

岡本先生は、常日頃、国際社会で活躍することを夢見る受講生や、活躍する修了生を見て「学生が成長する姿を見るのが何よりも楽しい」と仰っておられたのが、強く印象に残っています。本学としては、これからも岡本先生のご遺志を受け継ぎ、本プログラムを継承・発展させていくことを、岡本先生にお誓い申し上げたいと思います。

末筆となりますが、これからも国際社会で活躍することを夢見る学生たちを、温かく見守って頂きますことをお願いして、岡本行夫先生への追悼の言葉とさせて頂きます。岡本先生、本当にありがとうございました。

立命館大学

岡本行夫先生略歴

岡本行夫
OKAMOTO Yukio

1945年、神奈川県生まれ。
1968年一橋大学経済学部卒、外務省入省。
1991年退官、同年、岡本アソシエイツ設立、代表取締役就任。橋本内閣で1996年~1998年沖縄担当総理大臣補佐官。小泉内閣で2001年9月より内閣官房参与、2003年4月~2004年3月まで総理大臣補佐官(イラク担当)。
NPO法人「新現役ネット」理事長、2003年~立命館大学客員教授。政府関係機関や企業への助言活動の他、外交評論家として国際情勢を分析、執筆・講演・メディアなどで幅広く活動されました。
著書は、「砂漠の戦争~イラクを駆け抜けた友、奥克彦へ」(文藝春秋)、「生きのびよ、日本!!」(朝日新聞社)、「ニッポン再生最前線~岡本行夫対談集」(都市出版)、「さらば漂流日本」(東洋経済新報社)、「日米同盟の危機-日本は孤立を回避できるか」(ビジネス社)など。TV番組「岡本行夫のニッポンという国へ」が、BS-i(BSデジタル6チャンネル)などでもご活躍されました。