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Studying in the JDP

2大学が「ジョイント」で
カリキュラムをつくった意義・価値とは
Thomas French准教授

立命館大学とアメリカン大学の2大学で「グローバル国際関係学」を一貫して学ぶJDP。共同でつくったカリキュラムとはどういったものなのか。 この取り組みは、日本の大学と海外の大学が共同で1つの学位を授与する初めての試みであり、画期的だ。 立命館大学から学修をスタートするRUホーム学生の4年間の学びに着目して、Thomas French 准教授が詳しく解説する。

Episode01

入学後、立命館大学での1年半で
身につける学修の基礎

JDPの学生は、AU・RUの両大学で非常に幅広い科目を選択することができ、その中で自分の興味関心のある内容を追求することができます。さらに、将来のキャリアで必要とされる重要なテーマやスキルを学ぶことのできるコアとなる科目が4年間で提供されます。

RUホーム学生は、入学後から2回生春学期までの1年半(3セメスター)、立命館大学で学修します。学生は、グローバル国際関係学における学びを深めるためのベースとなる知識・能力を身につけます。具体的には、以下の3つに分類できます。

グローバル国際関係学を多角的に学ぶための基礎知識とリサーチ能力の習得

国家間の関係を多様な視点から考えるために、政治、経済、国際関係論の基礎を学びます。また、グローバル国際関係学の3つの専門分野“グローバル・比較ガバナンス”、“アイデンティティ・民族・ジェンダー・文化”、“平和・国際安全保障・紛争解決”について、それぞれの分野の導入科目を学びます。さらに、諸課題を分析するための適切な研究方法を身に着けるために、情報収集や研究計画、統計分析の手法などのリサーチ手法を習得します。

<履修する科目例>

Introductory Seminar Ⅰ & Ⅱ
Theories of International Relations
Economics for Global Studies
Macroeconomics
Introduction to the United Nations
Comparative and Global Governance
Introduction to Gender Studies
Race and Ethnicity in the Modern World
Introduction to Peace Studies
Security Studies
Global Studies Research

読む・書く・発表するといったアカデミック・スキルや英語力の習得

国際関係学を体系的に学ぶには、専門書や国際情勢や政治、経済、移民問題、環境問題など、英語で書かれた学術的な文献を利用し、それを批評することが不可欠です。さらに、読解力だけでなく、自身の意見について“話す”、“書く”といった能力も重要となります。これらの能力を伸ばすために「Academic Skills」科目を用意しています。

2回生秋学期からアメリカで学ぶことになる彼らは、アメリカン大学のガイドラインで示されている英語スコア(TOEFL iBT 85, IELTS 6. 5 , PTE 60)を1回生の3月までに到達しなければなりません。立命館大学では、このスコアに到達できるまで英語力を磨くためのオプション科目も用意しています。 2021年度時点で、全学生が入学後の1年間で求められているスコア基準をクリアしています。

<履修する科目例>

Academic Skills Ⅰ、 Academic Skills Ⅱ、 Academic Skills Ⅲ
Intensive English Ⅰ~Ⅳ

アメリカン大学での学修に向けての異文化環境適応力

JDPの特徴のひとつとして挙げられるのが、アメリカン大学から学修をスタートするAUホーム学生とRUホーム学生がともに学ぶ「コーホート」科目です。AUホーム・RUホーム学生 JDP生のみの少人数クラスで学ぶため、学生同士の関係構築を行う場であり、互いの文化や国について学び合う場となります。お互いに支え合い、励まし合い、学び合うことで、将来に向けての強いネットワークを友人と築いていきます。

アメリカから日本に到着したAUホーム学生や日本からアメリカに渡航するRUホーム学生にとって、仲間からの言葉は、AU/RUでの生活に関する有益なの情報源となります。

アメリカに渡航する前からアメリカン大学で学んできたAUホーム学生と切磋琢磨できる、アメリカン大学について情報収集できる環境は大きな魅力の一つです。

<履修する科目例>

Japanese Culture
Cultural Awareness and Communication

また、RUホーム学生は同じ学部内で、英語で学んでいるグローバル・スタディーズ専攻の学生達とも1年半、同じクラスで受講することになります。アメリカに渡航する前から世界中から集まった多様なバックグラウンドをもつグローバル・スタディーズ専攻の学生達と学び合い、様々な国の文化や価値観に触れられることもJDPの大きな特徴の一つです。

Episode02

専門分野や東アジア・アメリカについての
見識を深める、アメリカン大学での2年間

アメリカン大学での2年間は、School of International Service (SIS)に所属します。アメリカン大学での2年間は、RUホーム学生にとっては、アメリカン大学で知識を深め、立命館大学で学んだことを発展させ、さらに深める期間となります。

アメリカン大学で身につける幅広いスキル・知識

グローバル国際関係学を多面的な視点から学ぶための基礎的素養を養成し、将来、国際社会で指導的な役割を担う上で必要な幅広い教養を身につけるために、数学・生物学・化学・心理学・歴史学・社会学・芸術学などを含む、一般教養科目(リベラルアーツ)を履修します。こうした幅広い分野の知識の習得を通して多様な世界観を形成し、専門分野に対する深い知見を得るための基礎を身につけ、バランスのとれた知性と知恵の獲得を目指します。

また、アメリカン大学でもJDPの AUホーム学生とRUホーム学生が1つの少人数クラスで学ぶ「コーホート科目」が用意されています。

<履修する科目例>

American University Experience Ⅰ・Ⅱ
Complex Problems Seminar
First Year Seminar
College Writing Seminar

国際関係学や地域研究の深堀り

3つの専門分野である“グローバル・比較ガバナンス”、“アイデンティティ・民族・ジェンダー・文化”、“平和・国際安全保障・紛争解決”の中から関心のある分野を主分野・副分野として、それぞれ1つずつ選択し、専門科目の学びを深めていきます。さらに、JDPでは東アジアとアメリカの架け橋となる人材を育成することを目的としているため、東アジア・太平洋地域についての科目を学びます。そのほか、アフリカの政治から北極圏の安全保障まで、世界の国や地域、文化に関するさまざまな授業を選択することができます。

<履修する科目例>

Introduction to International Economics
International Relations Theory
Global Economic Governance
Topics in Identity, Race, Gender, and Culture
Topics in Public Diplomacy
Governance, Development, and Security in Asia
Environment, Conflict, and Peace
Economics of the World Regions
China, Japan, and the United States

卒業論文に向けて、自身の関心事に基づいた研究をスタート

立命館大学での1年半でリサーチ手法の基礎を学びました。アメリカン大学では、さらに高度なリサーチ手法を学び、学生が自身で設定したテーマに沿って、卒業論文の作成に向けた研究を進めていきます。研究はその分野を専門とするアメリカン大学の教員がサポートします。

<履修する科目例>

Advanced International Studies Research
Independent Reading Course in International Studies
Independent Study

Episode03

立命館大学でのラスト半年間(1セメスター)は
学びの集大成

これまで紹介してきたように、RUホーム学生は、立命館大学で最初の1年半は基礎的な内容を学びます。その学びを引き継いでアメリカン大学で2年間、より発展的なアカデミック・スキルを身につける学びを継続しつつ、専門科目や地域研究を中心に専門的な学びを深めていき、卒業論文に向けた研究を深めていきます。

最後の立命館大学での半年間は、これらの学びの集大成として卒業論文を仕上げます。研究の指導はアメリカン大学の教員から立命館大学の教員に引き継がれます。このように1つの研究テーマについて2つの国・大学で学びを深めることができること、これらが「ジョイント」でカリキュラムをつくるJDPの大きな意味の1つです。学生を4年間、一貫したカリキュラムの中で基礎から積み上げて指導することができるのは、立命館大学とアメリカン大学が協働しているからこそ成り立つものだと思います。

<履修する科目例>

Advanced Seminar
Graduation Research

こうした特別な環境・カリキュラムで4年間学んだJDPの学生は、日本だけでなく、海外での幅広いキャリアを目指すことができると私は感じています。