多職種連携教育プログラムを5医療系教育機関合同で開催しました
※多職種連携とは、医師・薬剤師・看護師、理学療法士、作業療法士など、医療に携わる様々な職種が連携することを指します。
【導入】
患者さんにとってより良い医療を提供するためには、医師・薬剤師・看護師・理学療法士・作業療法士といった医療に関わる様々な職種がチームとして連携する必要があります。そのためには、各職種に就職してから他の職種のことを知るのではなく、学生の時からお互いの職種を知り、共に学ぶことで、医療人としての価値観を共有することが重要となります。
立命館大学薬学部と滋賀医科大学は、従来から医療人養成のための教育に取り組んでいましたが、医療人としての価値観を共有した各職種の人材を育成するため、2023年度から「立命館大学薬学部と滋賀医科大学との多職種連携教育プログラム」を実施しております。2026年度は、過去最大規模の5校380名が集い、今後の日本が直面する高齢化に関する課題について多角的な視点で議論を交わしました。
【対象】
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立命館大学 |
薬学部薬学科2回生 94名 |
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薬学部薬学科4・5・6回生 20名 (Ph.A等) |
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滋賀医科大学 |
医学部医学科2回生 113名 |
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びわこリハビリテーション専門職大学 |
理学療法学科4回生 64名 |
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作業療法学科4回生16名 |
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甲賀看護専門学校 |
看護学科2回生 18名 |
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滋賀県立総合保健専門学校 |
看護学科2回生 55名 |
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合計 380名 |
PhA : Pharmacy Assistant 薬学科上回生のアシスタント
開催日時︓2026 年 9 月 25 日(金)13時~17時20分
会場︓立命館大学びわこ・くさつキャンパス
方法:1チーム6名(医、薬、看、リハ学生の混合チーム)とし、60チームに分かれて実施する。
後援:滋賀県
【プログラムの到達目標】
〇医師・薬剤師・看護師などの職種に関わらず、医療人としての価値観を共有できるようになること。
〇多職種連携やチーム医療の重要性を理解できようになること。
【内容】
「高齢者と家族の暮らしについて考える」をテーマとしたプログラムを実施しました。今回のプログラムでは、これまで地方で一人暮らしをしていた祖母が、東京に住む息子の家族と同居することになった、というストーリーを基にワークショップを行いました。同居当初は歓迎されていたものの、祖母に認知症の症状が現れ、家族(母親)の介護負担が増していくにつれ、同居することが難しくなってきました。家族で話し合いを行いますが、祖母を含めた家族全員が満足できる解決策は出てきません。
このような一律の答えがない課題に対し、医学生・薬学生・看護学生等の混成のグループで、KJ 法を用いて議論を行い、「どうしたらおばあさんは幸せに暮らせるだろうか」についてプロダクトを作成し、発表を行いました。
学生達は、価値観を共有することや、多職種が連携しチームとして医療を提供することの重要さや難しさを知り、これまで学んできたことの実践が簡単ではないことを学ぶことができました。
【実習の様子】
全員集合でオリエンテーション 隣の人をインタビューし、チームメンバーに紹介
(他己紹介)
Ph.Aがグループワークにて助言中 教員も各チームの活発な意見交換に感心、、、
各チームが制作したプロダクトを発表 最後の振り返り
教員より医療現場で実際に取り組んだ事例を紹介。
様々な職種の学生たちがそれぞれの知識を活かし、どのような点に注目してどのようなサポートが必要か、協力して話し合っている様子が印象的でした。我々は、滋賀県下で医療系教育機関と協力して、今後も継続的にプログラムの内容を見直し、協力して医療人の養成を行いたいと考えております。
グループを代表して質疑に答える学生 各職種の視点で意見を出す学生たち
【参加学生の感想】
○Aさん
今回のプログラムは私にとってとても刺激になりました。医師や看護師と関わる必要があるのは何となく想像がつきますが、特に介護を専門として勉強している学生とグループワークができたのが、大変良かったです。
今回のテーマは「おばあちゃんがどうしたら幸せに暮らせるか」であり、介護や在宅医療がメインだったので、グループワークでは介護を学んでいる学生や医学を学んでいる学生が率先して、細かいところや現実と照らし合わせた考えを発表で進めてくれました。介護の専門学生は4回生だったこともあり、「要介護度2ってことは、〇〇の費用は負担しなくていいはずだから…」と、学んできた知識をすぐに応用できていて感心しました。
また、他のメンバーもグループで出た施設やサービスが、どの立場の人の管轄下であるかどうかも「これは医療に分類される」「これは看護も関係している」と、自分がどこに携われるのかを積極的に考えて意見を交わせたことが有意義でした。当初は薬剤師として関われる場面が少ないと感じたものの、薬が直接関係していなくても、家族のメンタルケアなどで薬剤師が必要とされることもあるとPh.Aさんが教えてくださり、ただ試験の勉強だけしていれば良いわけではないことも実感しました。
グループワーク外の時間でも、同じ班の人と普段どのような勉強をしているのか、何年でどのような試験を受けないといけないのかなどの会話で、新たな気付きを得られたことも充実していました。
今回、多職種連携教育プログラムを通して、薬学だけではなく、看護学、医学、理学療法など、さまざまな視点から医療について考えることができました。 特に、「おばあちゃんが幸せに過ごすためにはどうしたらよいか」というテーマについてグループワークを行ったことが印象に残っています。グループ内で意見を交換することで、自分だけでは思いつかなかった新しいアイデアや考え方を知ることができました。
私は、実際にひいおばあちゃんが介護施設に入る前に、「できるだけ自宅で過ごしたい」とよく話していたことや、その希望をめぐって家族の間でさまざまな葛藤があったことを経験しています。そのため、最初に見た動画の内容にはとても共感しました。また、私自身も「本人が望む生活と、家族が安心して過ごせる環境をどのように両立すればよいのか」という答えを知りたいと思っていたため、グループワークを通して多様な視点から考えることができたことは、とても有意義でした。
例えば、看護学を学んでいる学生からは、要介護度について教えてもらい、動画に登場するおばあちゃんの要介護度や、それに応じて必要となる支援について、看護の視点からわかりやすく説明してもらいました。また、理学を学んでいる学生からは、事故やけがを防ぐために、おばあちゃん自身の転倒を減らすことが重要であり、そのためにデイケアでリハビリテーションを取り入れるという提案がありました。このように、それぞれの専門分野によって着目する点や考え方が異なることを実感しました。
また、今回のグループワークを通して、おばあちゃん本人だけでなく、家族全員が納得できる形で今後の生活を決めることの難しさを改めて感じました。そして、そのような意思決定を行うためには、本人や家族、医療・介護に関わる専門職の間で十分にコミュニケーションを取ることが重要だと学びました。しかし、認知症が進行すると、本人の思いや考えを正確に知ることが難しくなる場合があります。そのため、本人が自分の意思を伝えられるうちに、将来どのような生活を送りたいのか、何を大切にしたいのか、反対に何を避けたいのかなどについて、家族とあらかじめ話し合っておくことが大切だと感じました。
この経験から、多職種連携とは、それぞれの専門知識を持ち寄るだけではなく、本人の思いや希望を中心に置き、さまざまな立場の人が意見を出し合いながら、その人にとってよりよい生活を考えていくことだと学びました。今後、薬剤師として医療に関わる際にも、薬学的な視点だけにとらわれず、他職種の意見を尊重しながら、患者本人と家族にとって最善の選択を一緒に考えられるようになりたいです。
今回の多職種連携プログラムを通して感じたことは、それぞれの分野の学生が持つ知識の深さです。今回のお題は、「認知症にかかったおばあちゃんとどう暮らしていくか」というものでした。
私が普段の授業で勉強しているものは主に体のことで、高齢者に対しての知識はほとんどありませんでした。話し合いを進めていく中で、介護に対して知らなったことが増えていきました。
特に驚いたのは、介護保険についてです。私は今まで、介護保険は主に病院などで使えるものだと思いました。しかし、それだけでなく、介護保険を利用したリフォームや、介護用品の購入などがあることを知りました。
また、デイサービスについてもたくさんのことを教わりました。私自身の知識だけでは出てこないような意見がたくさんありました。今回、このお題だったから知識が増えたとは思っていません。きっと、どんなお題であっても、議論を通して新しい知識を知ることができると思います。
だからこそ、チーム医療が大切なのだと実感しました。自分が持っている知識を周りに共有すること、周りから知らなかったことを教わることは、これから医療系職種として生きていく上でとても大切だと思いました。