地球上に棲む殆どの生物は1日24時間の周期で生きています。どのようにしてその周期を把握しているのでしょうか。
その答えは生物が体の中に持っている「体内時計」が影響していると考えられます。
体内時計は、24時間の振動サイクルが続き、温度に左右されない、周囲の環境に同調させる等の性質があります。外国に行くとっても一時的に時差ぼけを起こしますが、やがて環境に応じて体内時計は現地時間にリセットされ、時差ぼけが治りまするのはこの現象が起きているからです。30億年前から生息するシアノバクテリアの細胞から「時計」をつかさどる3つのタンパク質KaiA、KaiB、KaiCが発見されました。この中のKaiCが体内時計の中心となることが解明されました。本研究ではさらにKaiCを詳しく調査することで、ATP分解酵素が体内時計の性質を決めていることが明白になりました。
シアノバクテリアのような原始的な生物が、なぜ地球の自転周期である「24時間」を細胞内に記憶したのか、まだ不思議なことは沢山あります。
太古から現在まで生きてきた生物の「24時間の記憶」の謎を解き明かす研究が、我々人間を含めた生命を理解することに繋がることといえます。