近年パラリンピックへの人々の関心が高まり、障がい者スポーツがマスメディアに取り上げられることも多くなりました。しかし、より身近に目を向けた時、障がい者と健常者が一緒にスポーツを楽しむ機会はあるでしょうか。障がい者と健常者が、「共に」スポーツを楽しむにはどうすればよいでしょうか。
日本における障がい者スポーツは、「分離」から「インテグレーション(統合)」、さらに「インクルージョン(包摂)」へと変遷してきました。インテグレーションは、各人の障がいや個別性といった「違い」に着目し、用具やルールによってスポーツに適応できない人を適応できるようにするものです。それに対し、「違い」よりも「共通項」を見出そうとするのが「インクルージョン」です。障がいがある人もない人も「誰もが」使える用具やルールを考えていこうとするものです。これは建物における「バリアフリー」から「ユニバーサルデザイン」への転換に重なります。今後は、障がい者も「顧客(カスタマー)」になって、スポーツの機会への選択肢を増やしていくことも大切でしょう。障がい者の声を拾い上げインクルーシブな施設づくりにつなげたいと考えています。