教員紹介
FACULTY MEMBERS
現代社会専攻
水沢 光 教授
MIZUSAWA HIKARI
- 専攻
- 現代社会専攻
- 専門分野
- 科学社会学、科学技術史
研究テーマ
科学技術政策史、航空技術の歴史、科学コミュニケーション
おすすめ書籍
三島由紀夫『金閣寺』新潮文庫、2003年。
三島由紀夫の代表作。1950年に実際に起こった金閣寺放火事件を題材にした小説です。金閣寺の「美しさ」に取りつかれた若い僧侶が、寺を放火するまでの半生を描いています。本書を読むと、大学を抜け出して、金閣寺を見に行きたくなるはずです。京都の地名も随所に出てくるので、街歩きの楽しさが増します。京都の日本海側までドライブに出かけたり、嵐山にダブルデートに行ったりしたくなるかもしれません。河原町で教員を見かけても、後を追跡するのは慎重に。身の破滅につながるかもしれません。
学生時代の思い出
一年浪人して大学に入学しました。受験勉強に疲れていたせいか、1~2年生の頃は授業を熱心に受けたという記憶はありません。幸いなことに、日本の各地域から集う級友に恵まれ、大いに刺激を受けました。1年生の夏休みに運転免許を取得すると、郷里に帰省している級友たちに会いながら、日本全国を周遊するというアイデアが思い浮かびました。スマホはもちろん、携帯電話もない時代です。十分な事前のアポイントもなく、相手の地元近くまで車で行き、相手の実家に電話をするのです。今から考えると自分でもあきれるばかりの無計画ぶりですが、当時は、相手の都合とか、迷惑をかけるかもしれないといったことを深く考えてはいませんでした。級友が、高校時代の同級生宅に出かけているというのを親御さんから伺い、初対面の同窓生のお宅を訪問したことなどを、おぼろげながら覚えています。大学で世界が広がり、浮かれていたのだと思います。
現在の学問分野に決めた理由
高校生から大学生ぐらいの頃には、「美しいもの」こそが「高尚」で「かっこいいもの」だと思い込んでいました。最初に心惹かれたのは「建築」の「美しさ」でした。高校3年生のときには、塾でデッサンを習い建築学科を受験しましたが、どこの大学にも受かりませんでした。当時は、芸大に合格できるのではないかと本気で考えていたのでショックでした。浪人中に「建築」の才能がないことを悟り、次に心を奪われたのが、「数学」の「美しさ」でした。大学入学後も「数学」好きは続き、大学3年生で選択したゼミでは、「非線形数理学」を専攻しました。しかし、ゼミでの活動が続くと、社会的な課題に無関心なように見える周りの環境に我慢がならなくなっていきました。結局、「美しいもの」に心惹かれていたのは、「高尚」だと社会から認めてもらいたいという気持ちが強かったのだと思います。大学院では、「美しいもの」という束縛から解き放たれ、科学や技術の社会的なあり方を研究する、科学技術史・科学技術社会論を専攻することを選びました。