教員紹介
FACULTY MEMBERS
子ども社会専攻
松岡 宏明 教授
MATSUOKA HIROTOSHI
研究テーマ
造形・図画工作科・美術科教育における目標と評価、美術鑑賞教育、子供と造形
おすすめ書籍
世阿弥は『風姿花伝』の中で、それぞれの歳には相応の花があり、それはその時期にしか咲かせることのできない花であると述べました。花とは、言い換えると「美」です。少年期には少年期の、青年期には青年期の、そして老年期には老年期の咲かせるべき花があるというのです。これを「時分の花」と呼びます。それは、やがて枯れる花でもありますが、その花をその時に十分に咲かせることで次の花を咲かせることができます。「咲かせては枯れ」を繰り返しながら、やがて消えることのない「まことの花」を咲かせることができるのだと伝えています。目の前に現れる子供たちが5歳児ならば5歳児の花を、10歳であれば10歳の花が咲くように、その「時分」を受容し、見守り、言祝いであげましょう。先の花を咲かせようとしてはいけません。「教育」における重要な視点です。そしてあなたが今、20歳なら20歳の花を咲かせましょう。(世阿弥著、水野聡訳『風姿花伝』PHP研究所、2005)
学生時代の思い出
とにかくよく遊んでいました(やましいことはほとんどしていません)。朝まで友と語り合いました。いつも眠く、夕方まで寝ていることもよくありました。家庭教師でお小遣いを工面し、「餃子の王将」の無料券(当時はありました。現在は割引券のみ)を駆使し節約していました(バブル期なのに無縁でした)。立命館大学で開催された英語のスピーチ大会に出場して3位に入賞したこともあります。それ以来英語に触れていないので話せません、聞き取れません。もちろん、鴨川をじゃぶじゃぶと渡ったこともあります(酔っていなかったとは言えず)。大学に泊まり込んで(申請すると可能だったのです)、みんなとおでんをつくってつつきながら、制作活動に勤しんでいました。「スパッタリング」という表現技法にはまり、その後30年以上取り組むことになります。いずれにしても究極に未熟な時でしたが、最高に楽しい日々でした。
現在の学問分野に決めた理由
衣笠キャンパスの目の前に、衣笠幼稚園があります。私の母園です。担任の山川順子先生は、さまざまな楽しい造形活動を提供してくださいました。視覚表現の優れた絵本をたくさん読み聞かせてくださいました。そして小学生の時、近くのお寺の絵を描いて大きな喜びを得ました。ずっと美術は自分の側にあり、美術に惹きつけられていきました。気がつくと美術教師を目指し、中学校に勤めることになりました(京都府)。そして自然と「美術教育」の研究をするようになりました。そこで小さな子供たちの美術の魅力に、はたと気づきました。また、芸術家による美術との共通性に目を見張ったのです。そうすると、芸術家による美術を「見る力」が子供たちの美術を「見る力」を養い、子供たちの美術を「見る力」が芸術家による美術を「見る力」につながるということに思いが至ったわけです。こうして「美術」と「教育」と「鑑賞」と「子供」が私の研究の分野となりました。原点は、紛れもなく衣笠幼稚園にあります。