「時は今だプロジェクト」がアドバンストセミナーを開催

Posted on 2016.11.09

先日10月25日、以学館1階ラウンジ前にて、産業社会学会
アドバンストセミナーが開催されました。今回のアドバン
ストセミナーでは、私たち「時は今だプロジェクト」が、
「小水力発電所再稼働への活動と感じた地域の方々の温か
さ」というテーマで発表しました。


(2016年10月25日アドバンストセミナーでの発表風景)

「時は今だプロジェクト」は、2011年3月11日の福島原子力
発電事故をきっかけに、原子力発電のリスクと、それに代替
するエネルギーとして小水力発電に着目した教員・学生が集
まり、発足しました。「エネルギーの地産地消」を目指し、
2011年8月より継続して活動を行っています。

私たちは岐阜県大垣市上石津町にある時地区をフィールドと
して活動しています。ここには、大正から昭和にかけて稼働
していた小水力発電のプラントが残されており、そのプラン
トを再稼働させることを一つの目標として掲げています。



(大正11年竣工当時の小水力発電所の風景)


(小水力発電所建屋内部の発電機)

最終目標は小水力発電所を再稼働させることにありますが、
それと同時に、地域の方々とのつながりを重視しながら、時
地区のコミュニティ再生に向けた取り組みも行っています。
昨年、2015年度には、計4回に渡るワークショップを開催し、
「時地区の10年後のビジョン」について地域の方々と意見交
換を行いました。
ワークショップには、小学生や高校生、大学生などの若い世
代からお年寄りまで、多くの方々に集まっていただき、世代・
性別を超えた話し合いが行われました。「ずっと住み続けら
れる地域」をビジョンに掲げ、①暮らしやすい地域づくり、
②時地区のファンづくり、③自然・文化を守り、伝承する取
り組み、この3つを将来計画の柱とし、活動していくことに合
意しました。そして、5年の歳月を経て、「小水力発電所の再
稼働」も時地区の将来計画の1つとして、組み込まれることに
なりました。

他にも、グリーンツーリズムや伝統のお祭りへの参加、発電
所の測量調査などの活動を行ってきました。これらの活動が
地域の方々とのつながりを強め、私たち自身の活動の幅も広
がっています。


(時地区の10年後のビジョン策定ワークショップの風景)

今回のアドバンストセミナーでは、プロジェクトの発足やこ
れまでの活動内容など、「時地区の未来の在り方」を模索し、
地域の方々と共に歩んできた私たちの姿を、発表させていた
だきました。

 発表の終わりには、講評の山口先生から「小水力発電所の
再稼働が、地域の魅力作りやコミュニティ再生(移住者促進)
にどのように繋がっているのか?」という質問をいただきま
した。この質問を受け、「再稼働に向けた取り組みと地域づ
くり、両方を並行して行う必要がある」という認識はあった
ものの、その2つの関連性について考えが十分ではなかったと、
改めて痛感いたしました。アドバンストセミナーでの発表後、
私たちは、この問いに関して個々の意見を出し合い、共有し
深め合っています。今後、出場を予定してあるゼミナール大
会では、私たちなりの答えを皆さんにお伝えできればと考え
ています。

文責:時は今だプロジェクト


メディア社会専攻企画「二十歳の無言館」上映会、監督を招いて開催

Posted on 2016.11.01

10月14日、メディア社会専攻企画として「二十歳の無言館」の上映、
ならびに製作にあたった森内康博監督を交えたティーチインが行なわ
れました。
上映は午後6時10分から、以学館3号教室の大スクリーンを使用し、
産業社会学部の学生・教職員らが鑑賞しました。

「二十歳の無言館」は、横浜国立大学附属鎌倉小学校の2007年度卒業
生有志が出演する作品です。小学校の修学旅行で、長野県上田市にあ
る戦没画学生慰霊美術館を訪問したことをきっかけとして何度か足を
運ぶ中、作品から語りかけられる何かを感じるようになる生徒たちが、
大学生になって今一度、無言館を訪れます。そこで今の自分の生き方
や現代社会に対する考え方を率直に語る様子を、丹念に収録・編集し
ています。
無言館に収蔵されているのは、日中戦争、および太平洋戦争で戦死し
た画学生の画や作品で、館長の窪島誠一郎さんが、全国の戦没画学生
の遺族を訪ね歩き、一つひとつ集めたものです。作品からは、当時を
生きた、若者の希望・不安などを感じることができます。また、小学
生の時の印象と、これからの自分の将来や未来を考える大切な時期に
ある大学生では、作品から受け取るメッセージが大きく異なっている
ことが分かります。鑑賞の経験をもとに、二十歳となった若者たちが、
人生の悩み・自分たちを追い立ててくる社会に対する葛藤・将来の夢
などを、時にはけんか腰になりながら語りつくします。



上映後の森内監督によるティーチインでは、製作の背景などについて
の解説があった後、会場の鑑賞者との間で、質疑応答が行なわれまし
た。
同じ二十歳世代の産業社会学部学生からは、「『無言館』を訪問する
ことで、忙しく、追われるように生活する現代の若者は、生きること
が未来と直結していることに気付かされた。他方、今日の平和な社会
では、現代の若者は戦争に対するリアリティがなく、イマジネーショ
ンによって考えようとしている」との指摘がありました。そのうえで、
「自分たちは、もっと人の痛みを知ることが大切で、この平和な世の
中も、突然、外からの力で断ち切られる危うさを抱えていることを
もっと自覚すべき」との発言がありました。
また、産業社会学部教員からは、「迷う現代の学生の現実がよく描か
れている。また、映画の最後でみられた、現代の若者の"自分さがし"
は、二十歳代で終わるものではなく、自分たちのあり方、・ありよう
を求め続けることは、何歳になっても続くのだ、ということが、とて
もよく描かれていた」とのコメントがありました。



立命館大学国際平和ミュージアムには、「無言館」の分館展示として、
京都館「いのちの画室(アトリエ)」があります。「二十歳の無言館」
の中で、自分の生き方と向き合う世代となった若者が、作品からさま
ざまな感じ方をしたように、産業社会学部の学生のみなさんも、直接、
作品を鑑賞して、現代社会と向き合う自分への気付きを得てもらえれ
ばと思います。

文責 BEN

リオパラリンピック特別壮行会を終えて

Posted on 2016.10.20

先日7月19日(火)、衣笠キャンパス以学館にて視覚障害者マラソン女子
リオパラリンピック代表として内定された近藤寛子さん、伴走者として
リオへ派遣される日野未奈子さんの壮行会を実施しました。
この壮行会は「スポーツ・文化応援サポーター」という、スポーツを通
して学生同士の交流を生み出し、互いに発展できる環境づくりを目的と
した学生団体による企画です。
 
壮行会では両代表者にお越しいただき、視覚障害者マラソンの紹介、競
技を始めたきっかけ、
障害に関することに留まらず、普段のお二方の暮らしなど自由にお話を
していただきました。



限られた時間ではありましたが、近藤さん、日野さん共にたくさんの
メッセージを届けてくださり、会場に足を運んだ学生は真剣なまなざし
でお二人の話を聞いていました。
壮行会の最後には学部の教員や学生による応援メッセージが書かれた
弾幕を贈呈し、和やかな雰囲気の中壮行会は終了しました。



私事で恐縮ですが、この企画を実施するにあたって、さまざまな困難が
ありました。
まず、準備期間が短く、十分な広報が出来なかったこと。1週間という
短い時間の中で計画を立案、ゲストの調整など、企画進行の準備に右往
左往し、度重なる実施日の変更がありました。このような中、学生は前
期末の試験やレポートに追われている状態だったので、会場に来てくれ
るのか、この企画に興味を持ってくれるのか、不安はぬぐうことは出来
ませんでした。 また、実際に自分が行ったことのない競技の企画だった
ため、どのように障害者スポーツやパラリンピックの魅力を伝えていく
かについて難しさを感じました。
 
このような準備期間を経て、当日は学生のみならず、教職員を含めた多
くの方に足を運んでいただくことができました。参加者からは「障害者
スポーツの環境が恵まれていない現状に気づくことが出来た」「近藤さ
んと日野さんの信頼関係が試合中のパフォーマンに強く影響しているこ
とが分かり、コミュニケーションの大切さに気付いた」などの感想が寄
せられました。
後期も引き続き、リオパラリンピックの経験談を皆さんに届けることが
できるような企画を準備中です。



“スポーツを通して学生同士の交流を生み出し、互いに発展できる環境
を作りたい”
「スポーツ・文化応援サポーター」は学内外問わずスポーツ・文化活動
において活躍する学生・団体にスポットを当て、参加者同士の交流、発
展を生み出す「応援文化」の醸成を目的とした学生団体です。
今回の企画の他にも、大学の体育会硬式野球部による同志社大学戦、通
称「立同戦」の企画や京都サンガF.C.とのコラボ企画などを行っており
ます。下記リンク先にあるFacebookにて、活動報告やメンバー募集を
行っておりますので、ぜひご覧ください。

スポーツ・文化応援サポーターFacebook

 
 
文責:スポーツ社会専攻 4回生 山口雅矢(スポーツ・文化応援サポーター代表)

産業社学部のグローバルなメディアの学び
アジア太平洋地域の平和・安定をメディアと絡めて考える
パシフィック・フォーラム CSIS 巡回セミナー開催

Posted on 2016.09.30

2016年7月1日、メディア社会専攻企画として「アジア太平洋
の平和・安定をメディアと絡めて考える」と題した、パネルセ
ミナーが開催されました。
この企画は、米ワシントンDCに拠点を置く超党派のシンクタ
ンクである戦略問題国際研究所下のパシフィック・フォーラム
(The Pacific Forum, 本部ハワイ州ホノルル)が、立命館大学
産業社会学部とパシフィック・フォーラム CSISとの共催、およ
び駐大阪・神戸アメリカ総領事館の後援開催として行われたもの
です。会場の創思館会場には、産業社会学部の学生ら60名が集ま
りました。
フォーラムの冒頭、有賀郁敏 産業社会学部長からフォーラム
参加者に対し、ノーベル経済学賞を受けたアマルティア・セン教
授の業績を紹介しながら、「グローバルな社会的課題をしっかり
見据え、考える機会として欲しい」とあいさつがありました。



この後、パシフィック・フォーラムのブラッド・グロッサーマン
事務局長の司会でフォーラムが開催されました。
登壇したのは、イー・シンワ教授(韓国・高麗大学校 政治・
国際関係学部)、佐藤 洋一郎教授(立命館アジア太平洋大学)、
そしてグラント・ニューシャム上席研究員(日本戦略研究フォー
ラム)です。 
イー教授からは、韓国からみた東アジアの安全保障および地域
の安定についてコメントがなされ、その中で韓国におけるこれ
に関するメディア報道についての言及がなされました。
佐藤教授は、アジア太平洋地域をみる時、海洋の安全保障の視
点からみることの必要性を強調していました。
グラント・ニューシャム 日本戦略研究フォーラム上席研究員
からは、メディアの中で描かれている平和・安全保障のイメー
ジについて広い視野から読み解くべきとの発言がありました。



会場からは、昨年日本国内で集中的に議論が展開された集団的
安全保障にかかわる見方、考え方にかかわる質問が各パネリス
トに対して投げかけられたほか、東アジアで、特に日韓両国の
メディア報道を通じて伝えられるアジアの安全保障および二国
間関係にかかわる視点の違いを国際メディア比較の観点から鋭
く問いかけるものもあり、産業社会学部学生の社会的な課題に
向けた鋭い眼差しが際立っていました。



アジアの安定を考える際、海外から見る視点と、国内から見る
視点には多用な射程があり、アジア太平洋地域の平和・安定を、
社会的な課題として学生たちの身近で考えるよい機会となりま
した。このパネルは日英同時通訳付で実施されたことから、
フォーラムに参加した産業社会学部の1回生からは、国際的な
会議にでも参加しているような感覚があり、知的にも大変刺激
を受けたとのコメントもありました。

文責:Ben

ひらめき☆ときめき サイエンス ~ようこそ大学の研究室へ~ KAKENHI
“話をしているときにどこを見ているの?”を記録して,無意識の視線 を分析しよう!

Posted on 2016.09.26

昨年度に引き続き,「ひらめき☆ときめき サイエンス ~ようこそ大学
の研究室へ~ KAKENHI」を,8月11日(木・祝)に以学館にて開催しま
した。同事業は,科研費(科学研究費助成事業)による研究成果の社会
還元・普及事業の一つで,日本学術振興会と大学との協力によって実施
されています。小学校5年生から高校生までの児童・生徒の皆さんに,
実際の研究機関で科研費の研究成果に直に触れ,体験してもらうことで,
科学のおもしろさを感じてもらう事業です
https://www.jsps.go.jp/hirameki/index.html参照)。
今回は,「“話をしているときにどこを見ているの?”を記録して,
無意識の視線を分析しよう!」と題し,主に小学校5・6年生を対象と
した1日のプログラムを実施しました。受講生は,岡山県,大阪府など,
京都府外からも集まりました。また,当日スタッフとして産業社会学部
の学生が運営に携わりました。
本プログラムでは,誰かと会話をするときや,質問をされて答えるとき
の視線を計測して,無意識的な視線の動きを考察してもらうことをテーマ
にしました。そこで,午前は,受講生1人ずつがサングラス型の視線計測
装置をつけ,“初対面の大学生と話をするとき”,“保護者の方と話を
するとき”の2つの場面での視線計測を体験しました。


<大学生と会話中の視線計測>

午後は,大学教員による講義を挟んで,各自が自身の計測データ(どこ
を見ていたのかが記録された動画データ)を見ながら,分析・考察を行
いました。「“大学生と話すとき”と“お父さん・お母さん(保護者)
と話すとき”では,見ているところにどんな違いがあったかな?」
「“すぐに答えられた質問”と“考えたり,思い出したりして答えた
質問”では,見ているところに違いがあったかな?」などの観点につい
て,結果をワークシートにまとめました。その後,まとめた内容を1人
ずつ発表し,他の受講生との違いを考えました。最後に,プログラム終了
証書を授与し,視線計測を記録した各自の動画データはお土産として持ち
帰ってもらいました。


<親子でデータ分析>


<視線計測のまとめ>

受講生からは,「いつも視覚を使って生きているけど,そんなに視覚
について考えていなかった」「実際にどこを見ているのかが分かって,
楽しかった」などの意見がありました。また,保護者からは,「子ど
もには、科学に興味を持ってもらいたいので,こういう講座があると
ありがたいです。大学生ともお話が出来て楽しそうでした」「日常あ
まり気にとめない視線がどのように動いているのか見られて不思議な
感覚でした。おもしろい!!」「大学の研究に少し触れることができ,
良い経験になったと思います」などの感想が寄せられました。
今後も,大学での研究や,研究の成果を児童・生徒の皆さんに知って
もらい,科学の魅力を伝えられるよう,アウトリーチ活動を続けてい
きたいと思います。

文責:子ども社会専攻 岡本尚子 准教授

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