教員紹介

FACULTY MEMBERS

スポーツ社会専攻

藪 耕太郎 准教授
YABU KOTARO

専攻
スポーツ社会専攻
専門分野
武道を中心とする身体運動文化の社会史および伝播史
研究者学術情報データベース

研究テーマ

近代武道の社会史

おすすめ書籍

坂口安吾「日本文化私観」『日本文化私観(坂口安吾エッセイ選)』講談社文芸文庫、1996.ほか所収。

「日本の伝統美」という美名に潜む形式主義や権威主義の政治性を、筆鋒鋭く批判するこの小編は、それがアジア太平洋戦争の只中の1942年、超国家主義が支配する大日本帝国下に刊行されたことに鑑みても、まさしく「無頼派」たる坂口の面目躍如です。「法隆寺も平等院も焼けてしまつて一向に困らぬ。必要ならば、法隆寺をとり壊して停車場をつくるがいい」と言い放つとき、坂口は、いったい「誰」が「何」を目的として「日本の伝統美」が仕立て上げられたのか、を問い掛けると同時に、作為に基づく「日本の伝統美」を妄信して悦に入る私たちの態度も批判しています。「古都」京都で学ぶ皆さんだからこそ、ぜひ一読してください。京都、ひいては日本の「伝統美」を疑う態度は、「卑近」や「些末」と無視されがちな出来事や事物を別の角度から再評価する手掛かりになるかもしれません。

学生時代の思い出

クラブやサークルに入る事もなく、勉強や資格取得に勤しんだわけでもなく、留学にも興味なく、ダラダラと学生生活を送っていました。特に低回生の間はまともに授業にも出席せず、友人宅に居候しながら麻雀に明け暮れ、お金が尽きれば高額の短期バイト、ときどきバンド活動(高校時代から惰性でやっていました)という生活だったので、まさしくダメ学生の典型ですね。退廃的といえば格好良いですが、実際には無気力で自堕落な日々でした。それと、バックパッカーに憧れた時期があり、年に数か月はアジア各地をウロウロしていました。二十歳の誕生日はタイのバンコクで迎えたのですが、現地の人たちにお祝いして貰ったのは良い思い出ですね。上回生になっても特に生活スタイルが変わるわけでもなく、従って就活も上手くいかず(決まったのは4回生の2月)、卒論も最低限の努力でやり過ごし、、、と今から考えると本当にもったいない4年間でした。ちなみに出身は立命館大学文学部です。皆さんはどうか反面教師にしてください。

現在の学問分野に決めた理由

大学院に進学したのは、入社して早々に会社勤めがイヤで辞めるにあたり、辞職を正当化する理由が必要だったからです。入学した当初は、懸賞小説に応募し、それをきっかけにあわよくば小説家デビューを果たすか、それがダメなら出版関係に就職したいと、相変わらず甘いことを考えていました。転機が訪れたのは、父に同行して南米を旅行したM1の春休みです。ある街で「柔道・柔術・空手・ボクシング・レスリング」と掲げたジムの看板が目に留まりました。武道と格闘技とをひと所で教える道場は日本には皆無なので気になったのです。それがきっかけで、武道が海を渡った歴史に興味を抱くようになり、色々と調べていくうちに、気付けば「沼」に嵌まり、勢いで博士への進学も決めた次第です。振り返ると本当に無謀な決断だったと思いますが、武道の海外伝播の歴史はほぼ当時手付かずの領域だったので、自分が第一人者になる、と息巻いていました。ちなみに、小説もいちおう応募しましたが、あえなく落選しています。
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