教員紹介
FACULTY MEMBERS
現代社会専攻
樋口 耕一 教授
HIGUCHI KOICHI
研究テーマ
ネットやマスメディアを飛びかう言葉から「社会の心」を探る研究、テキストマイニングの方法とツールの開発
おすすめ書籍
自分たちで書いた本で恐縮ですが、『動かして学ぶ! はじめてのテキストマイニング』(樋口耕一・中村康則・周景龍著,2022,ナカニシヤ出版)をおすすめします。「テキストマイニング」とは、ネットのクチコミ、アンケートの自由回答、新聞記事のような文章データを分析する方法です。文章の中にどんな言葉がたくさん出てきていたのか、その言葉同士はお互いにどうつながっていたのか。高評価を付けた人のクチコミに特に多く出現していた言葉は何か。そうした統計的な根拠をもとに、文章の分析をしようとする方法がテキストマイニングです。偉い先生が文章の行間を「うーん」とにらんで「こういう意味が隠されている!」と断言するのは、格好良いかもしれないけど、「ホントかな」っていう感じもしないでしょうか? もう少しはっきりした根拠にもとづいて議論ができる方法、テキストマイニングの入門書です。
学生時代の思い出
1996年から2000年にかけて大学生時代を送ったのですが、その頃はちょうどインターネットが普及していった時期でした。その頃にゲームのインターネット対戦も盛り上がり始めて、ゲームによっては世界ランキングのようなものが登場しました。私がプレイしたのはとてもマイナーなゲームで、維持できたのも1週間か2週間でしたが、ランキング1位に到達したことが思い出でしょうか。インターネット通信によって生じるタイムラグが0.1秒から0.2秒ほどもあり、このタイムラグを織り込みつつアクションゲームで戦っていました。このゲームについてのWebを作り、そこでゲームやPC部品についての記事を発信したり、コミュニケーションに必要な掲示板プログラムを自作したりしました。この時に身につけたスキルが、意外ですが、その後の研究生活でも役立ちました。学生時代に必死にしていたことは、そのときは何の役に立つか分からなくても、人生の助けとなることが多いようです。
現在の学問分野に決めた理由
私の専門分野は、計量社会学というもので、統計的な根拠をもとに社会の状態を明らかにしようというものです。計量社会学の中でも、上述のテキストマイニングに現在は取り組んでいます。どちらも、できるだけはっきりした根拠をもとに議論をしようという分野です。学生時代の私は、社会のことに興味は持ちつつも、文系の学問の世界は少し怪しく見えていたのです。偉い先生が言ったことが正しいことになるのではないか、そんな怪しさを感じていました。言った人が偉いかどうかではなくて、根拠とか証拠とかをもとに、正しいのかどうかを議論できた方が楽しそうだなと思ったのです。そして統計的な方法はどんどん進歩しますから、年配の偉い先生が常に有利とは限らないだろうと、そんなことを思っていました。今は私も年配側になってしまったのですが。