教員紹介

FACULTY MEMBERS

現代社会専攻

中西 典子 教授
NAKANISHI NORIKO

専攻
現代社会専攻
専門分野
地域社会学、地域政策
研究者学術情報データベース

研究テーマ

地域社会と公共性(公共空間)、地域政策(地方分権、地域振興)に関する比較社会研究、京都学研究

おすすめ書籍

藤田弘夫、『路上の国柄--ゆらぐ「官尊民卑」』、文藝春秋、2006

本書は、街角の看板や標識から、その土地やその国の社会秩序観や人々の日常における公共観を照らし出すというユニークな内容になっています。例えば、「『ここは国有地です』ゴミの投棄や立ち入りを禁ず」とする(旧)建設省の看板や、「都有地へ立ち入りを禁ずる」とする東京都の看板、川越市役所の駐車場にある「公用車駐車場」、「官用車駐車場」の看板などの写真をもとに、国有・都有・公用・官用が、‘Public Use’ではなく‘Official Use Only’になってしまっている現実を読者に問いかけてきます。個々の建造物は個人の所有でも町並みは公共のものといわれるように、公共空間である地域は皆が利用できるものであるにもかかわらず、そうなっていない現実があります。日本の「官」は中央政府、「公」は地方自治体とみなされていて、「官」や「公」が人々を示す‘Public’とは隔たっていることを改めて考えさせられる一冊です。

学生時代の思い出

もともと途上国の自由市場のような混沌とした世界に興味があり、大学では地理学を専攻しました。地理マニアが全国から集まってくるような環境で、政治経済で受験した身としては、地形図の判読や測量・製図など学ぶ気になれず、教員免許や学芸員資格、語学やゼミなど必修以外の講義はほとんどサボっていました(今となってはきちんと聴いておけばよかったと後悔)。学内サークルでは農村で調査合宿をしたり、学外サークルではテントを張ってビバークをしたりと、結構シビアな活動をしていました(ワークキャンプが苦手で青年海外協力隊への志向は断念)が、仲間がいたから続けられた気がします。アルバイトでは、結婚式場のカメラマンや音響照明、映画のエキストラなどを経験し、就活は付け焼き刃でマスコミ業界をめざし、当然の如く撃沈しました。

現在の学問分野に決めた理由

大学(学部)で勉学に励まなかった分、大学院ではそれなりに力を入れました。不本意就職により企業組織(上司との関係)やルーティンワークに疑問を持ったこともあって、社会の矛盾を明らかにする社会科学を身につけることの重要性を感じました。大学院では社会学を専攻しましたが、法学や経済学に比べると幅広くなじみやすいイメージがあり、他分野からも参入しやすいと思ったからです。修士論文は卒業論文との整合性が求められると考えていたため、村落構造をテーマにした卒論で農村社会学や地域社会学の文献を参照していたことから、後付けながら、地域社会学を専門分野としました。もし学部から社会学を専攻していれば、家族社会学やジェンダー研究に興味がいっていたかもしれません。目下の研究は、地域社会学よりも地域政策に近いと思います。
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