教員紹介
FACULTY MEMBERS

現代社会専攻
武岡 暢 准教授
TAKEOKA TORU
研究テーマ
歌舞伎町の都市社会学、商店街、職業のネットワーク:ホストクラブ、キャバクラ、性風俗、客引き、スカウト等
おすすめ書籍
杉本鉞子、『武士の娘』、筑摩書房、1994
矢内原伊作、『ジャコメッティ』、みすず書房、1996
本を読むことは見知らぬ異質な世界(自分の外側にあるとは限りませんが)の存在に気づくことであり、それに触れ、理解が始まることです。明治初期に「武士の娘」として生まれ渡米した著者による1冊目、芸術家の苛烈で愚直な生の記録である2冊目は、その意味でいずれもよい読書の経験——旅であり出会いでもある——にあなたを誘うことでしょう。
矢内原伊作、『ジャコメッティ』、みすず書房、1996
学生時代の思い出
美術館や劇場、ライブハウスやコンサートホールなどを乱読ならぬ乱訪?していたのは学生らしい暗中模索でした、と今となっては苦笑しながら振り返ることができます。自分が本当に面白いと思えそうなことは何なのかを探そうとしていたのだと思いますが、けっきょく何かコンテンツを消費することよりも生産すること(つまり論文を書くこと)の方が面白い、と感じるようになったのは大学院も博士課程まで進学した頃になってからです。
大学で受けた授業に関しては、制度上は履修できないものにモグって出席していたものなどが印象に残っています。例えば学部3-4年生のための授業に2年生のときに出るとか、逆に大学院生になってから学部1-2年生のための授業に出るなどで、もちろん単位は来ないのですが、当たり前ではない環境で勉強することは面白いものでした。
現在の学問分野に決めた理由
私が選んだのは社会学ですが、つぶしが利きそう、という理由で選んだところなんだか惰性でずるずる続けてきたという感じです。学部2年で専門分野を選ぶとき、文学や歴史など、何でも面白そうと思ってはいたのですが、社会学なら文学も歴史もできるのでは…という考えから、暫定的な選択のつもりで決めました。そこでは言語学と社会学の中間のようなテーマ(会話分析といいます)に出会い、これは面白いと思って卒業論文で取り組みました。しかしミクロなコミュニケーションを徹底的に探究する方向性には早々に煮詰まってしまい、大学院ではもう少しマクロな対象に取り組みたいと思って都市社会学に鞍替えしました。都市はかなり広大で茫漠とした対象ですので、煮詰まることもなく、しかし逆にあてどなくさまよいながら勉強を続けています。都市を対象とする学問は社会学だけでなく工学系のものや歴史学、経済学、政治学など極めて幅広く、つぶしが利くというかたくさんの目配りも必要で、大変ですが面白い専門分野だと思っています。