教員紹介

FACULTY MEMBERS

現代社会専攻

櫻井 純理 教授
SAKURAI JUNRI

専攻
現代社会専攻
専門分野
社会政策論、労働社会学
研究者学術情報データベース

研究テーマ

市町村と企業・NPO 等が提供している就業困難者への支援政策、日本とデンマークの比較研究

おすすめ書籍

エリック・クリネンバーグ(藤原朝子訳)『集まる場所が必要だ』、英治出版、2021年

近年の酷暑で、日本でも熱中症での搬送がよく報道されています。1995年夏、アメリカのシカゴは41℃超えの熱波に見舞われ、1週間で700人以上の犠牲者が出ました。しかし、隣り合った地区でも死亡率が大きく異なったところがあることが分かりました。「高齢者の割合や貧困、失業、暴力犯罪の発生率が同じように高い2つの地区で、何が生死を分けたのでしょうか?」。この本の序章は、このエピソードから始まります。そして、その後の分析を通じて、極端な事例に見えるような「個人の受難」が、実は単なる「個人の問題」ではなく、社会の課題であることが見えてきます。タイトルの「集まる場所」とは何を意味していて、なぜそれが必要なのでしょうか。ぜひ読んでみてください。

学生時代の思い出

経済学部の国際経済学ゼミでした。3・4回生と院生の合同でケインズの一般理論を読みましたが、小難しい議論に付いていけてなかったです。それでも、毎週ゼミ後の「王将」でのビール、三井寺での合宿、川崎製鉄の工場見学、ゼミ対抗ボーリング大会など、思い返せば楽しい学生生活でした。アルバイトは映画館のチケット係で、他の映画館にもタダで入れるパスを借りることができたので、とにかく映画をよく観ていました。映画館の同僚や先輩とも仲良くなって一緒にランチに行き、本やカセットテープ(!)を借りたりもらったりしました。自分とはまったく違う人生を生きてきた大人たちとの交流から多くの影響を受けたと思います。

現在の学問分野に決めた理由

大学を卒業してすぐに京都の民間企業(製造・卸売)に就職しました。社内広報の仕事だったことから、さまざまな部署・職位の社員の話を取材者として聴いた経験が、労働に関連した研究に入るきっかけになっています。企業という組織の一員にすぎない「社員」が自分の担当する職務の課題を自分ごととして述べ、夢を語り、仕事に誇りを持って働いている。そのことに心を動かされる一方で、長時間労働など企業社会をめぐる問題の根深さがそこに潜んでいるように感じました。その後の研究分野は就労支援を中心とする社会政策にシフトしてきましたが、根っこでは繋がっています。つまり、日本における「ふつうの働き方」の特徴が、働きづらさや生きづらさの問題に連なっていると考えています。
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