教員紹介
FACULTY MEMBERS
現代社会専攻
加藤 雅俊 教授
KATO MASATOSHI
研究テーマ
公共政策が国々によって異なる理由・背景に関して政治的な要因に注目して分析する(とくに、日本とオーストラリアに注目して)、紛争処理と合意形成のあり方を多角的に検討する、政治学という学問が可能になるための条件を検討する
おすすめ書籍
私が学部生のみなさんに、一読をおすすめしたいのは以下の書籍です。
・内田義彦『社会認識の歩み』(岩波書店、1971年)
・大塚久雄『社会科学の方法』(岩波書店、1966年)
・丸山真男『日本の思想』(岩波書店、1961年)
・川島武宜『日本人の法意識』(岩波書店、1967年)
・高島善哉『社会科学入門』(岩波書店、1954年)
・水田洋『社会科学の考え方』(講談社、1975年)
戦後日本の社会科学を切り拓いてきた先人たちが、そのエッセンスや問題意識を、一般の人びとに向けて分かりやすく発信したものです。これらの古典から、学問を学ぶことの意義、複眼的・批判的に捉えることの重要性、そして社会で生きることの意味などを学んだ上で、現代の社会学および社会科学の到達点について学んでいってほしいと思います。そうすれば産業社会学部での学びが、あなたの人生を豊かなものにするはずです。
最後に、私が学部生の頃に読んで衝撃を受けた書籍を2冊紹介します。
・青木昌彦『経済システムの進化と多元性』(東洋経済新報社、1995年)
→今は文庫化されており、青木昌彦『比較経済制度分析序説』(講談社、2008年)
・山岸俊男『安心社会から信頼社会へ』(中央公論新社、1999年)
戦後の社会科学では、日本社会の特徴や固有性について、文化や伝統に言及することで、因果的に説明されることが多かったです。そして、これらは、日本社会が西洋とは異なる論理をとる非合理的なものであることを含意してきました。これらの通説的な理解に対して、両著は、ある特定の環境・文脈のもとでは、主体の合理的な行為の帰結として、日本社会の特徴がもたらされることを明らかにしています。文化や伝統などの個別性に還元するのではなく、一般性の高い理論枠組を用いて、日本と西洋諸国の差異を説明するというその鋭さや問題意識に敬服しました。
・大塚久雄『社会科学の方法』(岩波書店、1966年)
・丸山真男『日本の思想』(岩波書店、1961年)
・川島武宜『日本人の法意識』(岩波書店、1967年)
・高島善哉『社会科学入門』(岩波書店、1954年)
・水田洋『社会科学の考え方』(講談社、1975年)
→今は文庫化されており、青木昌彦『比較経済制度分析序説』(講談社、2008年)
・山岸俊男『安心社会から信頼社会へ』(中央公論新社、1999年)
学生時代の思い出
学部生の頃を振り返ってみると、私は中途半端な学生だったと思います。勉強、部活やサークル活動など、「何かひとつのことに打ち込み、そこで人生の糧となるような経験をする」といった充実した学生生活を送ることはありませんでした。むしろ、必要な単位を取るための勉強しかせず(言い換えれば、主体的な勉強は全くしなかった)、学生生活を続けていく上で必要となる金銭を得るために適度にバイトをし、後はダラダラと生きていました。ですので、学部生のみなさんには、勉強はもちろん、それ以外のことにも主体的に取り組んでほしいと思います。何でも良いのですが、若いときに一生懸命取り組んでいると、そのとき結果が出なくても、その後の人生を支えるような糧が得られるはずです。
現在の学問分野に決めた理由
私の専門は政治学です。政治学を学ぼうと思って大学に進学したわけではありません。将来の潰しが効くと考え、なんとなく法学部に進学しました。しかし、法律学の学びは私には全く合わず、すぐに挫折してしまいました。ダラダラと過ごしていたときに出会ったのが政治学です。当時のまだ若かった私は、社会に対して漠然とした苛立ち・不満を感じていたのですが、それをうまく言語化できずにいました。そんな私に対して、私が学んだ政治学は、社会を批判的に捉え、言語化するためのヒントをくれました。政治学(の一部)には、社会の成り立ちや力学を分析的に捉えるという特徴があり、それが当時の私には響いたのだと思います。それからゼミで政治学を学ぶことを決意し、将来の明確な目標もなかったので、大学院へと進学し、現在に至っています。