教員紹介

FACULTY MEMBERS

スポーツ社会専攻

金子 史弥 教授
KANEKO FUMIHIRO

専攻
スポーツ社会専攻
専門分野
スポーツ社会学、スポーツ政策論
研究者学術情報データベース

研究テーマ

①スポーツ社会学、スポーツ政策論
②戦後のイギリスにおけるスポーツ政策(スポーツとナショナリズム/社会的包摂) に関する研究
③オリンピック・パラリンピックをはじめとした国際的なスポーツイベントに関する社会学的研究(特にその<レガシー>(遺産)に関する研究)

おすすめ書籍

ジョーン・ハーグリーヴズ(佐伯聰夫・阿部生雄訳)『スポーツ・権力・文化――英国民衆スポーツの歴史社会学』、不昧堂出版、1993年

スポーツ社会学における「古典」のひとつともいわれている本です。本書では、グラムシのヘゲモニー論やフーコーの権力論などの社会理論、「スポーツ」という文化固有の特性に関する議論を踏まえながら、イギリス社会におけるスポーツと権力の関係性について歴史社会学的な考察がなされています。また、現代のイギリスにおけるスポーツをめぐる諸課題についても論じられています。自分もいつかこのようなスケールの大きな研究ができれば、と思っています。

石坂友司『現代オリンピックの発展と危機1940-2020――二度目の東京が目指すもの』、人文書院、2018年

オリンピックはいまや「世界最高峰のアスリートが競い合う競技大会」という枠を超えて、さまざまな政治的・経済的・社会的諸問題が絡み合うメガイベントとなっています。その分、「オリンピック」を研究対象に据えることは、とても勇気がいることです。そのような中、本書は真正面から「オリンピック」という対象に向き合い、その歴史的発展を初学者にもわかりやすい形で論じています。昨今、多くのスキャンダルに直面し、日本では「オワコン」ともいわれるオリンピックですが、まずは本書に一度目を通してから、オリンピックの意義やオリンピックに対する批判について自分なりに考えてみてはいかがでしょうか。

学生時代の思い出

学部生の頃は、部活動(体育会アーチェリー部)とアルバイトを中心に過ごしていたように思います(真面目に授業は出ていましたが‥)。アーチェリー部では3年生(3回生)の時に主将を務めましたが、その時の経験が現在の自分の人生観を形作っているように思います。また、大学から比較的近かったということもあり、学部生・院生時代ともに、よく西武ドーム(現ベルーナドーム)に足を運んでいました。松坂大輔投手VSイチロー選手の対決や、2008年の日本シリーズ、清原和博選手の引退セレモニーが特に心に残っています。院生時代の思い出は、ゼミや自主研究会のアフターで大学のある国立(くにたち)のレトロな喫茶店や居酒屋で食事をしながら、研究や将来について後輩たちと熱く語り合ったことです。あと、院生時代はライヴ(Do As Infinityさん、いきものがかりさんなど)にもよく行きました。

現在の学問分野に決めた理由

私にとっての研究の原点は学生時代の経験にあります。運動が苦手な私は、小学校から高校までの「体育」の授業が大嫌いで、成績も下から数えた方が早かったと思います。一方で、中学校の時に自分で選んで始めたアーチェリーには大学までの10年間、(技術の上達はさておき)のめり込みました。また、小さい頃から熱狂的な埼玉西武ライオンズファン、横浜F・マリノスサポーターでもあります。さらに、私が大学生の頃には、自分が育った横浜で、2002FIFAワールドカップ日韓大会が開催されました。せっかくなので、これをテーマに大学の卒業論文を書きました。「自治体や地元商工会は大会に関連した経済効果などを期待して盛り上がっているけれども、地域のスポーツ環境は十分ではなく、ワールドカップ後に「文化」としてスポーツが根付くのかはよくわからない」。これが私の卒業論文の結論でした。なぜ「強制」的にやらされる「体育」は嫌いで、「自由」に行ったり観戦したりする「スポーツ」は好きなのか。サッカーワールドカップやオリンピックなどのスポーツ・メガイベントは「誰のために」「何のために」開催されるのか。学生時代に抱いたこれらの小さな「問い」が、私が「スポーツ社会学」という学問領域に進むことにつながっているように思います。
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