教員紹介
FACULTY MEMBERS
現代社会専攻
斎藤 真緒 教授
SAITO MAO
研究テーマ
ヤングケアラー・若者ケアラーおよび男性ケアラーを中心とする家族ケアに関する理論的実証的研究と当事者参画に基づく社会資源の開発、今日の若者の恋愛の動向の把握とデートDV 予防プログラムの開発
おすすめ書籍
ヤマシタトモコ『違国日記①~⑪』(2017年~2023年、祥伝社)
私は、他者との距離、とくに近しい人との距離について、研究としてだけではなく、個人的にも興味があり、考えて続けています。自分の中にある「普通の家族」の「常識」を、少しずらすきっかけになる物語だと思います。
浅見克彦『愛する人を所有するということ』(青弓社、2001年)
他者との距離の中でも、最難関の問題は、愛情という感情を基盤とする人との結びつき―恋人やパートナー関係―ではないでしょうか。この本を読むことで、私自身は「目からうろこ」を体験しました。素晴らしいものと思われがちな「愛情」の落とし穴、愛情に基づく関係が、現代社会でどのように位置づけられているのか、そのことを学びつつ、自分自身が築いている人間関係を少し突き放して振り返ってみることが、新しい関係性の幅を広げることにもつながるのではないでしょうか。
学生時代の思い出
私は、秋田生まれで、18歳の時に、立命館大学衣笠キャンパスに初めて足を踏み入れました。私にとって、「家族」、とりわけ親との関係は、自分自身を後押ししてくれると同時に、私自身の人生の方向性を縛るものでもありました。大学進学を契機として、簡単には帰れない、親と物理的に距離ができたことは、私自身の大きな転機となりました。それ以来、30年以上、衣笠キャンパスが私のホームグラウンドです。大学時代の友人は、今も私自身の人生の指針として、大きな支えになっています。学部生時代は留学する勇気もお金もありませんでしたが、大学院に入って、研究も兼ねて、初めて一人でドイツにいったことは、旅先でのトラブルも含めて、私にとって最もかけがえのない思い出のひとつです。
現在の学問分野に決めた理由
はじめは社会科学を学ぶということのおもしろさや意義が、あまりわかりませんでした、というか、ピンときませんでした。ただ、ジェンダーに関する講義が、自分のこれまでの育てられ方や、親という存在への理解を大きく変えるきっかけになりました。多様な人間関係の中でも、とりわけ家族という集団の特異性をどのように理解するのかということに関心をもち、研究してみたいと思うようになりました。とりわけ、女性であることと、子供を産み育てることーケアーの相関を調べることは、私自身がどのように生きるか、だけではなく、私よりも先に人生を生きている母や先輩女性たちの生きざまを理解することにつながるのではないかと考えるようになりました。家族社会学という領域を選択し、その後、研究員時代からは、男性介護者の実態調査、現在はヤングケアラーなど、ケアを切り口として、人間関係や社会の諸相を調べることにつながっています。