教員紹介
FACULTY MEMBERS
現代社会専攻
孫 片田 晶 准教授
SOHN KATADA AKI
研究テーマ
国際社会学、人種・エスニシティ研究、多文化共生、多文化教育、在日コリアン研究
おすすめ書籍
社会学の入門書としては、『ふれる社会学』(ケイン樹里安・上原健太郎編, 2019)をぜひ手にとってください。自分を取り巻くいつもの日常の中から、あるいは、少し気になってはいたけどよく考えたことはなかったなという社会問題のトピックからスタートして、社会に“ふれる”ことができる本です。人が社会学をするのはそれが役立つからだということが実感できると思います。この本に込められたメッセージのひとつが「しんどくなったときに(社会学を)思い出して」だそうですが、友達やこれから出会う多くの人々とのつきあいにもきっと役立つ本です。
それから、ジェンダーのことに関心がある人の大学生活の旅のおともとして小説をおすすめします。たとえば、近藤史恵さんの『マカロンはマカロン』という小説は、小さなフランス料理店が舞台の人気シリーズのひとつですが、さらりとした短編の中でこの社会を生きる様々な人の経験を“読ませて”くれます。広い意味での社会学は、たくさんの社会人に愛されているものだと思います。
学生時代の思い出
今もう一度あの先生の授業が聞きたいなと思う授業がいくつかありますが、学生時代の思い出と言えば、やはりサークルです。陶芸部では木造の部室で土を練りろくろをまわしながらどうでもいいことを夜遅くまでしゃべっていました。ユニセフサークル(学園祭でのカレーのお店と古本市での収益を国際NGOに寄付する活動)ではまじめな話もしていたはずですが、後で思い出すのはメンバーの人柄です。一番長い時間を過ごしたのは在日コリアンのルーツを持つ学生で集まる学生団体でした。在日という属性のこと、家族のことや社会の差別のことをどう考えるか。先輩から引き継いだ活動を大事にしながら、自分達が在日であることの意味を話し合いともに作っていく場所でした。が、今思えば、ただただえんえんと一緒に時間を過ごすことが楽しかったし、大事だったのだと思います。何をしていたとしても、大学生活を経て、自分の人生の中にとても多くの人が存在するようになると思います。
現在の学問分野に決めた理由
今思えば単に自分が不勉強だったせいでもありましたが、本に書かれていることに違和感をもったことが、出発点だったと思います。当時は、在日コリアンと日本社会のことを扱った研究の本はまだ少なく、実際の人々の声や現実、考え方や動きが研究とうまくつながっていないような感じがしました。学生としてジェンダーの授業が好きでしたが、在日コリアンの研究は、ジェンダー研究の蓄積とは比べようもない少なさでしたし、今は多くの大学にある多文化共生論のような授業も当時はありませんでした。学生時代にはサークル活動で、主観的には一生懸命に、仲間といろいろなことを話しあっていましたので、それもあって問題意識がありました。それで、そこをどうにかしたいと思ったようです(その大変さは理解していませんでした)。
ジェンダーにしても、移民や「人種」・エスニシティの研究にしても、人々の格闘の経験を学問に活かすことができるのが、社会学の魅力のひとつだと思います。