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ゲスト講義実施報告(元:国連開発計画(UNDP)駐日代表:弓削昭子様)

法政大学法学部教授の弓削昭子氏をお招きし、国際連合入門の授業内にて「国連の課題と展望」について講義を行っていただいた。弓削氏は、長く国連開発計画(UNDP)に勤務され、大学に転職される直前は、UNDP駐日代表と総裁特別顧問を兼任されていた。

講義の内容は、国連の活動の中でも、ご自身が関与されていた社会経済開発分野に特化したものであった。国際社会の課題と国連の動きについて、ミレニアム開発目標(MDGs)と持続可能な開発目標(SDGs)の経緯と内容について触れた後に、国連の役割と展望について、ご自身の経験を踏まえた持論をお話しいただいた。

今後、国連の特徴と比較優位を生かした活動を展開していく重要性とともに、マルチラテラリズムをより効果的に運用していく必要性を強調。また、国連の可能性と限界について、「国連を考える上で理想主義は現実的ではない」との見解の一方で、国家やその他アクターの一層の協力が求められていると締めくくった。

プロフェッショナル・ワークショップ(公務クラス)では、国際公務員を目指している学生を対象に、国際公務員に求められる能力と資格、どのように国際公務員のポストを得るかというトピックを中心にお話いただいた。

国連のシステムと業務を熟知している弓削教授の話は、細部に渡り具体的、かつ説得力があり、学生たちは講義内容に高い関心を示すとともに、多くの質問を投げかけた。

授業では、国際機関では自分自身でキャリア・パスを切り開いていくことが求められることが強調され、3、4年ごとに次のポストに異動することが求められることから、赴任国を渡り歩く生活を楽しむことができる精神力が必要であるとのアドバイスがあった。

また、国連開発計画(UNDP)では、仕事の時間の5%は自分の能力向上に使うことが求められ、年頭に作成する年間業務計画の中にLearningという項目があるとのこと。国際公務員への道は平坦ではないが、チャレンジする価値があることを教えていただいた講義であった。