薬が効きにくくなった耐性菌MRSAに効く薬を開発。薬のやわらかさが鍵。

2017.07.11 NEWS

薬が効きにくくなった耐性菌MRSAに効く薬を開発。薬のやわらかさが鍵。

 松村浩由・生命科学部教授は、大阪大学大学院工学研究科の藤田純三博士後期課程3年生と、アメリカラトガース大学のDaniel S. Pilch 准教授らとともに、薬が効きにくくなった耐性菌MRSAに効く薬を開発し、このほどオンライン総合科学誌「ACS Chemical Biology」に掲載されました。

 MRSAは、薬(抗生物質)を使いすぎた結果生まれた、薬が効きにくくなった耐性菌です。薬が効きにくいために、この感染症の治療は患者の抵抗力に頼ることになります。したがって、抵抗力が落ちている患者に感染した場合に、この感染症は特に重症になることが知られています。
 以前、本研究グループは新しいMRSA感染症の治療薬として、MRSAが持っているFtsZというタンパク質にくっつく薬を開発しました。FtsZはMRSAが増殖するときに働くタンパク質です。薬がFtsZにくっつくとFtsZの働きがにぶり、結果としてMRSAは増殖できなくなります。MRSAが増殖できなくなるということはMRSAの死滅を意味し、実際マウスを使った実験によると、この薬はMRSA感染症に対してとても効果がありました。しかし、この薬を使用し続けてみると、MRSAはこの薬にも耐性を持つようになってしまいました。
 そこで、この研究では、この薬が効かなくなったMRSAにも効く薬を開発しました。さらに、「古い薬がなぜMRSAに効かなくなってしまったのか?」、「新しい薬がなぜ効くようになったのか?」を調べてみたところ、「薬のやわらかさ」が重要であることがわかりました。
 本研究によりMRSAの耐性化の仕組みとその対策が明らかになったことから、今後、MRSA感染症に対する効果的な薬が開発されることが期待されます。
 本研究は、立命館大学、大阪大学、ラトガース大学と共同で行ったものです。

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