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2018年のニュース

2018.12.14

「政策実践研究プロジェクト・フォロワー」イタリアプロジェクトが現地調査を実施しました。

ベルガモ・オレオセンターDupty Manegerへのインタビュー

政策科学部2年生の小集団演習科目である「政策実践研究プロジェクト・フォロワー」の現地調査(科目名-グローバル/ローカル・オンサイト演習)が、9月11日から20日の10日間、イタリアで実施されました。現地調査には担当教員2名(上子秋生教授、田林葉教授)と本科目受講生14名、上級生1名が参加しました。「特定イタリアプロジェクト」は2016年度から開講されているプロジェクトです。今年度は「日本とイタリアのインバウンド政策-複言語政策と共に-」というテーマで研究を進めています。観光産業が盛んなイタリアでは、どのようなサービスを実施しているか、また国際的な人材育成に関わる外国語教育制度と実態を調査し、日伊の比較を行っています。今年度は観光チームと言語教育チームの2班に分かれています。観光班はイタリアの観光産業にはどのような政策やサービスが存在するのか、言語班は複言語教育に関心を持ち、イタリアにおける言語教育の発展について研究しています。

今年度は立命館大学政策科学部とベルガモ大学との協力協定および学生交換協定が締結された年でもあり、例年のイタリア訪問に加えて8月にはベルガモ大学の学生10名(うち1名はチューター)を日本へ受け入れるプロジェクトが行われました。本科目履修生および本科目履修経験のある上級生がベルガモ大学の学生を京都、大阪、奈良などに案内しました。また、本プロジェクトメンバーとベルガモ大学の学生は共に大阪いばらきキャンパスのセミナーハウスの同室に宿泊し、交流を深め、9月実施のイタリア訪問への準備をすることができました。

9月のイタリア訪問では昨年度と同様に、ミラノに5日間、ベルガモに5日間滞在しました。ミラノでは、JETROミラノ事務所の所長や、JTBミラノ支店の副支店長からイタリアの観光産業についてのお話を伺いました。また、メンバーが手分けして、ミラノの観光名所にてイタリア観光での利点、問題点などをミラノ大学の学生と共にインタビュー形式で調査しました。さらに、現地調査に加えてスカラ座にてオペラ鑑賞も体験し、イタリアの芸術文化にも触れることもできました。

ベルガモでは、オリオセンター(ショッピングモール)を含む現地でのインタビューに加えて、ベルガモ観光局にてお話を伺い、ミラノとは異なる特性を持つベルガモの観光産業について理解を深めることができました(本訪問はベルガモの地方紙にも取り上げられました)。また、ベルガモ大学では8月に立命館大学を訪れた学生とも再会し、イタリア人学生の日本語クラスの見学に加えて、同クラスと留学生のためのイタリア語クラスで教員、学生に向けてのインタビュー調査を実施しました。日本語クラスでは、本科目の履修生14名が実際に授業に参加し、日本語学習者のイタリア人学生と交流しました。最終日には2年生のプロジェクトメンバーが、「日本における外国人へのおもてなし」というテーマで、ベルガモ大学の学生に向けて英語でプレゼンテーションを行い、観光産業における日本の課題等について聴衆へ向けて発信しました。質疑応答は例年以上に活発で、ベルガモ大学の日本語学習者の日本への関心の強さを再確認する機会となりました。

今年度は例年と異なり、イタリア訪問だけではなく、ベルガモ大学の学生を日本へ受け入れるプロジェクトと2つ開講したことからベルガモでは例年以上に現地の学生と深く交流し、イタリア語、イタリアの文化などに触れることができました。実際にイタリアを訪れ、普段日本では得られない多くの体験をすることができ、収穫の多い現地調査になりました。現在は、2年生秋学期に研究成果物として取りまとめる「研究報告書」の執筆に向けて、継続して調査・分析を進めています。同時に、研究およびコミュニケーションにおいて、英語とイタリア語の重要性を再確認し、語学学習にも力を入れています。さらに、現在本学部に留学中のベルガモ大学学生4名と本学部からベルガモ大学への留学予定者2名を含めた本プロジェクトメンバーの交流も深まっています。

最後に、訪問受け入れに惜しみないご協力いただいた、JETROミラノ事務所、JTBミラノ支店、ミラノ大学、ベルガモ観光局、オリオセンター、ベルガモ大学の諸機関の皆さまには、この場所を借りて厚く御礼申し上げます。本プロジェクト構想の段階において現地とのコーディネート支援をいただき、現在も学生のイタリア語指導をしていただいているCarolina Capasso先生にも深くお礼申し上げます。

日本語文:立命館大学政策科学部政策科学専攻4年生
イタリアプロジェクト・教育サポーター 木村 友紀

JETROミラノ事務所にて、所長およびミラノ大学学生とともに
JTB Italyの副支店長との食事会
ミラノ・スカラ座でのオペラ鑑賞
ミラノ大学学生とともに調査
ベルガモ観光局にてインタビュー
ベルガモ大学にてプレゼンテーション

[Introduction to On-site Research Summer Session] Field work done in Italy by sophomore students of Italy Project 2018

In a course “Introduction to On-site Research Summer Session” in College of Policy Science, a group of sophomore students of “Italy Project 2018” made a field research in Italy for 10 days from September 11st to 20th. Fourteen students from this class (13 from Policy Science major and 1 from Community and Regional Policy Studies major) accompanied by two professors (Professor Tabayashi and Professor Kamiko) and a senior student as an educational supporter joined the research field work.

“Italy Project” started in 2016. This year our research theme is “Inbound tourism and plurilingual communication in Japan and Italy”. We divided into two teams, tourism team and communication team. Both two teams are conducting comparative research between Japan and Italy. The tourism team focuses on Italy’s prosperous tourism industry, aims to investigate what kind of policies Italy has. On the other hand, the communication team has interests in plurilingualism, its current development and education system in Italy, enhance the ability of cultivating international talents.

This year College of Policy Science, Ritsumeikan University and Bergamo University concluded an agreement for an exchange program. In August 10 students (nine undergraduate students and one tutor) from Bergamo University visited Japan. We, members of “Italy project 2018” showed these students around Kyoto, Osaka and Nara. During this program students from two universities stayed together in OIC (Osaka Ibaraki Campus) Seminar House, while preparing for the fieldwork in Italy and communicating in Italian, Japanese, and English.

We stayed in Milan for five days and in Bergamo for another five days. In Milan sophomore students have listened to lectures given by the director of JETRO Milan Office and deputy director of JTB Milan Office about tourism issues. Students divided into small groups visited various tourist spots in the city for interviews in order to research advantages and disadvantages of tourism in Italy. In addition, we enjoyed an opera performance at Teatro alla Scala, which gives us access to Italian art and culture.

In Bergamo, students continued fieldwork interview, had meeting with Tourism Office in Bergamo to acquire specific knowledge of tourism in Bergamo. Unlike famous tourist city like Milan, Bergamo keeps seeking new paths for tourists and themselves. Then, we got reunited with 10 students who visited Japan in August. With their sincere help we interviewed 3 groups of people: international students studying Italian, Italian students studying Japanese, and professors who were in charge of the classes. Italy project members joined a Japanese class and had face-to-face interview with Japanese learners at Bergamo University. On last day, sophomore students delivered presentation on their research to the students and professors at Bergamo University. The theme of the presentation is “Omotenashi for foreigners”, which introduces Japanese tourism focusing on hospitality.

This year’s project is different from the past few years. Not only Japanese students visited Italy, Italian students also had chance to come to Japan. The visits provided with more space for Ritsumeikan students to learn about Italy and for Bergamo students to learn about Japan. Besides investigating the research topics, students got to know deeply about history and cultures of Italy during the fieldwork as well. After returning to Japan, students are keenly working on the research report as the final product of the course.

All of us students truly appreciate generous cooperation from JETRO Milan, JTB Milan, students of Milan University, Orio Center, Tourism Office in Bergamo and Bergamo University. We also would like to thank Policy Science Office for their supports and Professor Carolina Capasso in College of Policy Science for teaching us Italian language.

English Version by WANG Siheng, sophomore, Community and Regional Policy Studies,
College of Policy Science, Ritsumeikan University

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2018.12.03

Ibaraki Northern Area Project(茨木北部プロジェクト)が現地調査を実施しました

政策実践研究プロジェクト・フォロワー Ibaraki Northern Area Projectでは、茨木市北部地域の課題を洗い出し、課題解決に向けた提案を行うことを目指し、4月から定期的に茨木北部を訪問し、農作業に携わり、また地元の農家や行政の担当者と意見交換をしてきました。9月には茨木北部竜王山荘で合宿をして、現地調査をしました。初日に農家や市民とともに稲刈りや野菜の収穫をして、二日目には地元農家に聞き取り調査を実施し、また実際に野生鳥獣被害にあっている地域や対策を視察しました。最終日には竜王山を登山し、山頂まで登ってきました。本現地調査の様子は大阪府のホームページにも紹介されました。

現地調査の様子

学生(英語基準と日本語基準の1,2回生)が地元農家や市民との交流を通して、茨木北部の地域振興に向けてどのような貢献や政策提言ができるか、引き続き取り組んでまいります。なお、本プロジェクトの成果を2018年12月9日に茨木市里山センターで、お世話になりました地元農家、一般市民、市役所の職員などに研究発表をする予定です。

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2018.11.21

日韓合同ワークショップを開催

2018年10月18日、韓国のソウルから国民大学校社会科学大学国際地域学科の大学院生が立命館大学大阪いばらきキャンパスを訪問し、本学政策科学研究科と日韓合同ワークショップを開催しました。本学政策科学部と国民大学校社会科学大学は学部交換留学協定を結んでおり、両者による日韓合同ワークショップは2年ぶり3回目の開催となりました。

今回のワークショップでは日韓両国から7人の大学院生がそれぞれの研究テーマについて報告を行い、両大学の教員や聴衆との間で活発な議論が交わされました。報告者の研究テーマは両大学の学際性の高さを示すように国際政治、文化外交、ODA政策、環境政策など多岐にわたり、幅広い分野の参加者による質疑応答も伴って、研究に対する新たな見地を提供し、他分野への理解も深める意義深いワークショップとなりました。

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2018.11.21

東近江市議会主催の意見交換会に藤井ゼミが参加

2018年10月20日、滋賀県東近江市五箇荘コミュニティセンターにて、市民と議会の意見交換会が開催され、政策科学部藤井ゼミの学生(4回生3名、3回生4名)が報告とディスカッションに参加しました。
東近江市議会と政策科学部および政策科学研究科は、2017年9月8日に議会改革や議員資質の向上のための連携協力に関する協定を締結しており、今回の意見交換会への学生の参加は、締結後はじめての実施となります。

先の10月4日には東近江市議会の方々に大阪いばらきキャンパスへお越しいただき、当日の進行の確認や学生と議員との意見交換をおこなうなど、秋学期の開始と同時に約1か月間の準備を経て当日に臨みました。
聴覚障害の方約10名を含めた市民約50名が参加した今回の意見交換会は2部構成となっており、第1部では東近江市議会の議会報告と藤井ゼミ学生による報告がおこなわれました。
議会報告では、議会の編成や機能、議員の1年間、市会計予算の概要、常任委員会及び特別委員会の各委員会の紹介など、非常に丁寧な報告となっていました。
藤井ゼミ学生の報告では、「学生からみた東近江市の魅力」について報告がおこなわれました。東近江市の活性化や認知の拡大という視点から、東近江市の魅力をあらためて確認していただきたいと考え、東近江市とその近辺にあるアニメ聖地巡礼などの新たな地域資源や、短期間で爆発的に話題が広がることを意味する「バズる」をキーワードに他市の「バズった!」広報、あるいは地域密着型のスポーツクラブなど、さまざまな魅力を紹介しました。

つづく第2部では、コーヒーやお菓子を囲んだワールドカフェがおこなわれました。ワールドカフェとは機能的で閉鎖的な会議ではなく、オープンで自由な会話を通じ、いきいきとした意見の交換や新たな発想の誕生を期待するブレインストーミングのような手法です。「あなたにとって住みやすいまちってどんなまち!?」をテーマに、1テーブル7~8名に分かれ、10分間を1ラウンドとしておこなわれました。また、第1部と同様にご参加いただいた視覚障害の方々とも手話通訳者を通して積極的に言葉を交わすなど、非常に活発なブレインストーミングがおこなわれました。

学生にとっては、このような場での報告や市民との意見交換会への参加、あるテーマのもとでの聴覚障害の方々との意見交換など、はじめての経験ばかりで少し緊張もありましたが、多くのことを学ぶことができ、大変貴重な経験となりました。東近江市市議会をはじめ、ご協力いただきました皆様に厚く御礼申し上げます。

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2018.11.1

2019年度再入学試験要項について

2019年度の再入学試験要項については下記PDFをご覧ください。

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2018.10.23

角本ゼミ集中セミナーが「AI・ロボットの発展と民法政策の変動」ヒアリング調査を実施

3回生の角本ゼミ(政策構想演習)では、「AI・ロボットの発展と民法政策の変動」をテーマと定め、その研究の一環として2018年9月10日から12日にかけて、東京都及び千葉県柏市での民間企業・公共団体のヒアリング調査、慶應義塾大学法学部山本龍彦ゼミとの合同ゼミを行いました。

9月10日

東京都千代田区永田町所在のNTTドコモ本社を訪問し、ヒアリング調査を行いました。まず、ソリューションルーム「フューチャーステーション」では、近未来人数予測システムを活用したAIタクシーについて説明を受け、仮想現実(VR)、複合現実(MR)等の新技術を体験しました。

その後、サービスイノベーション部の開発担当者から、未来の新たな住宅のあり方を模索する、現在実証実験中の「未来の家プロジェクト」について説明を受けました。このプロジェクトは、横浜市といった地方公共団体や富士通・資生堂等の多くの民間企業との共同事業であり、AI・IoT技術を用いて、“住むだけで健康になる”住宅を開発しようという革新的な取組みです。具体的には、体温・ストレスを測るセンシング機能や、その日の気候・心理状態に合わせてコントロールされる照明やカーテン等、様々な最新設備が搭載されているとのことでした。

9月11日

午前中は宿泊した『変なホテル浜松町』にてヒアリング調査を行いました。このホテルは、フロント業務にアンドロイドを活用する等、実験的な取組みを積極的に展開する点が特徴です。ここでは、人による業務を中心としたホテルと機械による業務を中心としたホテルの「効率性」や「サービスの質」の相違について説明を受け、人と機械の共生を目指す経営ビジョンについて聞くことができました。

午後は、慶応義塾大学(三田キャンパス)を訪れ、山本龍彦ゼミ(憲法)との合同ゼミを行いました。まず、山本教授から、ビッグデータを活用してAIが人間をプロファイリングする社会における「個人の自由及び尊厳」(特にプライバシー・自己決定)に関する課題について講義を受け、それをもとに両ゼミ生間で議論を繰り広げ、その後の懇親会で親睦を深めました。

9月12日

この日は千葉県柏市に移動し、柏の葉スマートシティを訪問しました。この街は「世界の未来像を作る街」をコンセプトに公・民・学が連携しつくっているものです。
午前中は、三井不動産主催のスマートシティツアーに参加し、多くの施設を見学しました。具体的には、地域一帯のエネルギーの管理を行う「柏の葉エリアエネルギー管理システム」や、予防医療を基本として地域の健康を見守る「街のすこやかステーション」、多様な人材の交流からイノベーションを生み出すための施設である「KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)」等の様子を知ることができました。

午後はアーバンデザインセンター柏の葉(UDCK)の方から、地域のまちづくりのあり方について話を聞き、そこでは、公・民・学が連携するまちづくりの、柏の葉スマートシティにおける実例や、柏市の別地域におけるまちづくりの今後の方向性について学ぶことができました。

この3日間で角本ゼミの学生たちが得たものは、AI・ロボット技術の発展・普及に取り組む現場の実情とそれに伴い発生しうる課題に関する知見、そして、その課題解決に取り組む人々とのつながりです。新技術の発展・普及に伴い、様々な課題に直面するだろうこれからの社会における、よりよい法政策のあり方を模索するために、我々は今回の経験を活かしていこうと思います。

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2018.10.23

「政策実践研究プロジェクト・フォロワー」台湾プロジェクトが現地調査を実施しました

政策科学部2回生の「政策実践研究プロジェクト・フォロワー」台湾プロジェクトは8月26日から9月1日の一週間、台湾にて現地フィールドワークを行ってきました。
今年の台湾プロジェクトの研究テーマは、近年世界中から注目を集めている「台湾の脱原発政策について」と「台湾のLGBTについて」です。この2つのテーマをそれぞれグループごとに分かれて研究を進めてきました。

今年度は高雄に3日間、台北に4日間滞在しました。高雄ではまず中山大学を訪問し、お互いの国の原子力発電・LGBTに関する現状や課題についてワークショップを行いました。最後にアンケート調査を行い、現地の学生の考えについても触れることができました。夜は夜市へ行き、台湾の空気を感じながら夕食をとりました。 8月28日には「地球公民基金会」を訪問し、台湾の脱原発についての現状や課題についてお話を伺いました。その後高速鉄路に乗って台北に向かいました。

中山大学での学生報告

地球公民基金会

8月29日午前中は、「緑色公民行動連盟」を訪問しました。緑色公民行動連盟は反原発運動に取り組んでいるNGO団体で、実際の活動内容や台湾での脱原発に関する現状など様々なことを知ることができました。直接お話を伺うことで現地の人たちの考えなど日本での調査だけでは見えてこなかった部分まで知ることができ、とても有意義な時間を過ごせました。その後昼食をとり、午後には「台湾性別平等教育協会」を訪問しました。ここでは台湾のLGBT教育についての話を伺いました。現地で実際に活動している方の話を伺うことで、より深い知識を身につけることができ、今後の研究に向けて参考になる点を多く得ることができました。夕方には台湾大学に行き、キャンパス内の見学をしました。

緑色公民行動聯盟

台湾性別平等教育協会

8月30日は午後から台北大学とのワークショップを行いました。中山大学と同様、LGBT・原発のそれぞれの国の現状・課題について報告し合いました。参加者の中には院生の方もおられ、今後の台湾への政策提言にまで至るなど私たちとしてはさらなる知識を得ることができ、とても内容の濃いワークショップを行うことができました。夕食は台北大学の方にピザやフライドチキンを振舞っていただき、台北大学の学生の方たちと一緒に食事をとりました。台北大学の学生の人の中には日本語を話すことのできる人もおり、日本語や英語を使いながらお互いの趣味や大学生活について話したり、連絡先を交換したりなど各々実りのある時間を過ごしました。

台北大学での集合写真

8月31日は午前中に総統府、228記念館、龍山寺。午後からは十分、九份と台湾の歴史ある名所や観光地を訪れました。

今回台湾に実際行ってみて2つの研究テーマにそって活動してきましたが、LGBTに関しても、脱原発に関しても、現在世界中で挙げられる課題であり、今後の行方は世界中が注目しています。台湾でのフィールドワークで得られたものをもとに今後日本がどうあるべきなのかを考え、後期のポスターセッション・報告書の作成に取り組んでいきたいと考えています。

(台湾プロジェクト 橋本泰希)

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2018.08.30

「モンゴルの外交政策」と「ドローンによる空のイノベーション」合同オープンリサーチを開催

2018年5月31日、モンゴル国立大学国際行政学部長であるバットルガ・スヒー教授および立命館アジア太平洋大学の銭学鵬准教授を大阪茨木キャンパス(OIC)にお招きし、宮脇研究室と周研究室主催、立命館サステナビリティ学研究センターと立命館大学地域情報研究所共催のオープンリサーチが開催されました。バットルガ教授は「モンゴルの外交政策」(第一部)、銭准教授は「空のイノベーションとサステナビリティ―ドローン産業の未来」(第二部)というタイトルでご報告されました。

第一部においては、モンゴルの内政、外交政策について報告が行われました。前半はモンゴルの外交政策に関して、後半は長年同教授が研究の対象とされてきたモンゴルにおけるイスラーム復興運動の現状について報告がなされました。

モンゴルの外交は、隣国である中国およびロシアとのバランスの取れた外交関係を築くことを基本方針としています。中国、ロシア両国に過度に依存することなく、日本、米国、そして欧州諸国はもちろん、ASEAN地域フォーラム(ARF)への参加、欧州安全保障協力機構(OSCE)への加盟に見られるように、「第三の隣国」関係を発展させることがモンゴルの外交政策の基礎をなしています。

モンゴルは人口、318万人のうち、95%をモンゴル民族が占めますが、ウランバートルから西方に1300km離れた場所にあるバヤウルンキー県には約10万人のカザフ民族が暮らしています。彼らはイスラーム教を信仰しており、街中には多くのモスクが見られるといいます。バットルガ教授は、近年、同地域でイスラーム儀礼の実践面をめぐり、世代間で解釈のずれが生じてきていることを強調されました。これまでバヤウルンキー県のカザフ民族は、地域独自の解釈に基づいたイスラーム儀礼を実践してきました。しかしながら、近年、中央アジアなどの地域に留学する若者が増え、そこからイスラームの儀礼、作法を持ち帰った若者がバヤウルンキーの伝統的解釈に異論を唱えるなど、現地では再編の動きが見られてきているといいます。

同教授のご報告は示唆に富み、普段の報道ではわかりにくいモンゴルの内政、外交両面にわたる現状を深く掘り下げるものであり、モンゴルの特殊な文化、地理性と内政や外交政策の関係について深く考える貴重な機会となりました。

バットルガ・スヒー教授

第二部では、銭学鵬准教授に、ドローン産業に関する最新の研究動向についてご紹介頂きました。
近年、小型無人航空機(ドローン)産業は、最も注目されているイノベーション分野の一つとして成長し、多くの産業と社会に変化をもたらしています。さらに、Society5.0の実現に向けた人間中心のスマート社会に向け、ドローンは今後の移動革命の実現およびデータ利活用の推進に中心的な役割を担おうとしています。特に、グローバル・サプライ・チェーンの物流・商流・情報流の三つの側面において、地方創生の糸口として、地方自治体が積極的にドローンを取り入れ、ドローン特区も設立されることにより、あらたな情報流とサービスが見込まれます。一方、ドローンが直近5年間で急速に発展し、技術のみならず、法規制などソフト面の課題も浮上しました。サステナビリティへのトランジションはイノベーションに左右されるため、ドローン普及に対する各国・各地域・企業組織の対応は、まさにイノベーションの研究にとって貴重な国際的対象事案とも言えます。

現在、ドローンは最新の技術として様々な分野(農業、観光、捜査、測量、スポーツ、新聞報道など)で応用されています。しかし同時に、ドローンの応用は安全と法規制などの課題に直面しています。銭教授は立命館アジア太平洋大学ドローン研究会の副会長として、ドローン産業発展の方向性やドローンソリューションに関する研究を着実に進めており、ドローンをどのように安全で合法的かつ有効的に利用できるかについて、参加した院生たちに重要で大きな政策課題を提起することとなりました。

銭准教授講演中

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2018.08.30

オープンリサーチ「激動の中国環境ビジネスとシステムイノベーション」講演会開催―大学院修了生の創業経験談

5月10日、立命館低炭素戦略研究会主催し、立命館サステナビリティ学研究センターと立命館大学地域情報研究所共催のオープンリサーチ「激動の中国における環境ビジネスとシステムイノベーションー中国での創業経験談」を茨木キャンパスC471で行いました。ゲストスピーカーとして、2009年政策科学研究科は博士前期課程修了生の張冲さんをお招きしました。2012年に浙江省湖州市で「加百列生物科技株式会社」を創業。「産廃問題」に直面する中国の環境汚染問題の解決を求めています。張さんは政策科学研究科へ留学した経験を生かし、激動の中国における壮大な環境ビジネスチャンスをつかみました。現在、自身の企業が推進する都市農村生活ゴミ処理システムを紹介しました。

現在、中国は「空気、水と土壌」の汚染問題に直面しています。中国国務院から2013年、2015年と2016年に発表された「大気十条」「水十条」および「土十条」政策は壮大な環境ビジネスチャンスです。

現在、世界4分の1のゴミは中国が占めます。従来の埋め立て型のゴミ処理方法は、すでに破綻し国にも多大な負担です。張さんは、「ゴミを処理する」の観点に留まらず「どのようにゴミを処理して中国式の循環型リサイクルシステムを構築できるか」を常に念頭に置き解決策を探求しています。

浙江省浦江県(※)と「加百列生物科技株式会社」を連携してモデル事業を展開させるシステムを発想しました。政府と企業の連携を通じて浦江県のゴミ処理は、全県のゴミを一カ所の埋立地に運搬してから処理する「集中型」から、20ヶ所のゴミ処理場でそれぞれ粉砕して処理する「分散型」へ移行させました。さらに、ゴミ収集の事前に、各自分別を行っています。従来の「燃える」「燃えない」のゴミ分別の仕方ではなく、農民に馴染みの「腐敗できる」「腐敗できない」でゴミを分別します。腐敗できるゴミを「加百列生物科技株式会社」が所有する機械を使い、土壌肥料にします。一方、腐敗せずリサイクルできるゴミを再利用して、循環型リサイクルシステムを構築することに成功しました。このように、浙江省浦江県はゴミ処理の大きな経済的な負担から解放され、きれいなまちづくりが実現できています。

張さんは、自分の経験を通じて政策科学における「研究の出口」を示しました。よく聞かれる問題「研究をどのように実際に応用できるのか」の答えとして、実際に中国で展開された環境ビジネスを提示しました。自分の経験談を話すことだけでなく、どのように自身が政策科学研究科で培った経験を自分のビジネスに活かすかについて、心得をオープンリサーチ参加者と共有しました。最後に、「政策科学は分野融合の学問だからこそ、問題解決の際にシステム科学の知識を用いながら一つの分野にこだわらず多角的視野を最大限活かすことができる」と強調する一方、「目先ばかり見るのではなく、常にその先を考えながら研究すべき」と提言しました。

これまで、数多くの賞を受賞されており、後輩にも大きな励みとなりました。

※中国の県は日本の市の下にある区画に等しいものです。

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