21世紀の持続可能で豊かな社会の構築に
貢献する 第3期R-GIRO、始動。

世界水準の研究拠点形成を目指し
文理融合で21 世紀の緊急課題の解決に挑む

村上 立命館大学は教育の質の向上はもとより、研究の質を国際的な水準にまで高度化することを重要課題と位置づけています。 その一環として、世界水準の特色ある研究拠点の形成を目指して発足したのが、R-GIROです。発足に際し、最も議論を尽くしたのが、理念の策定です。理念なしには優れた研究拠点も一過性のものとなり、大学に根づきません。20世紀、人は科学技術の革新によって物質的な豊かさを手にした一方で、環境破壊をはじめ、多くの「負の遺産」を抱え込むことになりました。それらを解消し、「21世紀に持続可能で豊かな社会を構築する」ことを全学で一致した理念と定め、2008年度にR-GIROはスタートを切りました。まず「自然との共生型社会の形成(地球の自然回帰)」に軸足を置いて自然科学系領域から研究を開始、続く2009年度からは人文社会科学系領域を加え、全学を横断した文理融合型のプロジェクトを推進してきました。

吉田 私立大学である立命館大学の使命は、第一義には質の高い教育を提供することです。研究成果を広く社会に還元し、21世紀の世界・人類のために貢献することも、我々大学の果たすべき重要な責務です。また、最先端の研究で得られた成果や知見を教育に生かすことが、教育の質の向上にもつながります。

村上 その通りです。大学で行われている研究が世の中にどのように役立つのかを学生が理解することは容易ではありません。R-GIROは、文理融合の重要性や研究成果が次世代の人々にどのように寄与するのかについて学生に間近に見てもらう好機となります。

吉田 本学の強みは、総合大学として充実した理工系学部を備え、優れた自然科学系教育・研究を行っていること、加えて学部間の垣根が低く、全学的に多彩な交流機会があることです。学問領域を超えやすい環境が、R-GIROでの研究をはじめ、他にはない異分野融合型の研究を可能にしています。さらに、良好な教職協働体制が実現していることも重要な要素です。研究の担い手は教員と学生ですが、それを支える職員なしに研究を推進することはできないからです。

村上 確かに、教職員の団結力の強さは立命館大学の財産の一つです。R-GIROが今日まで発展した理由は、学長が機構長を務め、その強力なリーダーシップのもとで全学を挙げて取り組んできたことにあります。2012年度から始まった第2期のR-GIROでは、33のプロジェクトを8つの研究拠点・9つのプロジェクトに集約し、研究成果の事業化などの社会実装へと進展させてきました。

吉田 第1 〜2期の7年間のR-GIROの成果には目を見張るものがあります。教育と研究の一体化・若手の人材育成・文理融合・教職協働といった多様な取り組みが、見事に実を結びましたね。2014年度の「科学研究費助成事業(科研費)」の採択件数は、全国の大学の中で第26位、私立大学では第4位を誇ります。文部科学省による「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」においても、立命館大学でこれまで採択された17件のうち、実に9件がR-GIRO研究プログラムの拠点リーダー、グループリーダーによって進められています。さらに2014年、文部科学省「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」拠点事業において、全190件の申請のうち、私立大学では本学のみが準採択にあたるトライアル拠点に2テーマが採択され、さらに昨年度、R-GIROの拠点が中核となっている「運動の生活カルチャー化により活力ある未来をつくるアクティブ・フォー・オール拠点」が本採択にいたりました。

村上 若手人材の育成という点でも大きな成果を挙げています。専門研究員の採用数は、毎年50 〜60名にのぼります。R-GIROで先端的な研究に携わり、実力をつけた若手研究者の多くが、現在、多様なフィールドの第一線で活躍しています。

第3期R-GIROを迎え、拠点をさらに尖鋭化
21世紀の持続可能で豊かな社会の構築を
目指す

村上 2016年度、R-GIROはいよいよ第3期に突入します。新学長のもと、これまで積み上げてきた研究を継続しつつ、さらに尖鋭化していきたいと考えています。21世紀の世界に、人々が豊かさと幸福を感じられる持続的な社会をつくるにはどうすべきか。日本の緊急課題の一つである少子高齢化や環境問題など、グローバルな視点で向き合うべきテーマを絞り込み、解決に挑んでいきます。

吉田 日本が先進国を模倣していた時代は終わり、科学技術の分野においてもいまや日本が世界の先陣を切るべき時です。世界屈指の少子高齢先進国である日本が、進むべき道筋を後に続く国々に示していくことも重要でしょう。第3期も「世界を牽引する研究成果を挙げる」という意気込みで、立命館ならではの独創性あふれるテーマに取り組んでほしいと思います。

村上 食料問題や健康寿命の延伸、自然エネルギー開発、水・環境問題など、立命館の強みを存分に生かせる数多くのテーマを想定しています。これらに挑むには、これまで以上に自然科学系と人文社会科学系の融合が必要になります。今後も学内外を問わず、産学官や異分野の連携をいっそう深めていくつもりです。

吉田 心理学や法学・社会学をはじめ、本学が擁する多様な人文社会科学系分野も大きな力を発揮してくれるはずです。第1 〜2期の取り組みを継承しながら新たな知見を増やし、第3期でさらに一段高いレベルに引き上げていただきたい。また、研究を受け継いでい くためには若手研究者を育成することにも引き続き注力する必要があります。立命館大学、R-GIROにしか成しえない研究成果が、「人間共生型社会(少子高齢化での持続可能な社会)の形成」に貢献することを期待しています。

(R-GIRO Quarterly Report vol. 21 [Summer 2015]より一部転載)






さらなる社会貢献を目指して、
R-GIROは第2フェーズへ

立命館グローバル・イノベーション研究機構(R-GIRO)は、2008年4月に立命館大学の研究高度化施策の一つとして設立されました。
その理念は、21世紀に住む人類の責務としての「持続可能で豊かな社会の構築」であり、日本が緊急に解決すべき研究領域に特化した研究を推進し、世界に誇れるサステイナビリティを追求する最先端の研究拠点を形成するとともに、それを通して世界に活躍できる若手研究者の育成を目的としています。そしてこの目的達成には2段階のフェーズで臨んでいます。

第1フェーズの研究プログラム「第1期特定領域型R-GIRO研究プログラム」では、2008年10月より「環境」「エネルギー」「食料」「材料・資源」「医療・健康」「安全・安心」「人・生き方」「平和・ガバナンス」「日本研究・地域研究」「融合新研究」の10分野を重点研究領域に定め、4年間をかけて学内より35プロジェクト(2013年に2プロジェクトを「安全・安心」領域にて追加採択)の公募・採択を行いました。既に終了したプロジェクトはありますが、残るプロジェクトは現在も進行中で、途中経過ではありますが、このプログラムの推進により、若手研究者育成、学術論文、産学官連携等において多くの実績を挙げることができました。

第1フェーズにおいて蓄積された研究成果を礎とし、R-GIROの理念および目的の実現に向けその進捗をさらに加速化させるため、本学の強みである分野横断力、分野統合力による「特色有る異分野融合型研究拠点」の形成に向けた第2フェーズ「第2期拠点形成型R-GIRO研究プログラム」を2012年度より開始しています。

「第2期拠点形成型R-GIRO研究プログラム」は、第1フェーズと同様の10分野を重点研究領域としていますが、第1フェーズとは異なり、複数の研究集団からなる大きな研究組織体制を採っています。各研究プロジェクトには、代表者である拠点リーダーの下に3〜5名のグループリーダーを配し、各グループリーダーが学内外からの数名のチームリーダーを統括する体制を基本としています。
これにより、異分野結集による新学術領域の研究拠点形成を今まで以上に推進させることが可能となりました。

現在、本プログラムでは2012年〜2013年度にかけて公募・採択された7つの研究拠点が研究活動に取り組んでいます。そして、そこから得られる研究成果やその社会への実装、立命館らしい研究拠点の創成を通して、社会に大きく貢献することを目指しています。またそのために、科学研究費補助事業をはじめとする外部資金の獲得や国が進める大型研究プロジェクトへの参加にも積極的に挑戦していきます。