Voices for future leaders修了生紹介

8期生

塚本 輔

塚本 輔Tsukamoto Tasuku

Tokio Marine Insurans(Malaysia) Berhad Head,
Market Development Office
(営業企画部長)

  • 東京海上ホールディングス株式会社 
    海外事業企画部 企画グループ マネージャー
  • Tokio Marine Insurans(Malaysia) Berhad Head,
    Market Development Office(営業企画部長)

立命館西園寺塾を通じてのご自身の変化や成長について

私にとって一番大きな変化は、仕事やプライベートほか、あらゆる局面で「答え」を出すことだけではなく、正しい「問い」を生み出すことを大切にするようになったことです。西園寺塾で歴史を学び気が付いたことは、いつの時代にも一つの正解がない問題に人々が向き合ってきたことです。斯様な環境下で進むべき道を見つけるためには、自分一人の力ではおよそ十分ではなく、様々な知見やアイデアをもった仲間の智慧を借りることが必要ですが、そのために不可欠なことが正しい「問い」を生み出す力なのだと考えます。多様性が強調される現代社会において、この重要さに気付くことが出来たことは私にとって大きな一歩になりました。

また、何かをはじめ、進めるにあたって「ロジカルさ」が全てではないことに心の底から共感できたことも私にとって大きな収穫でした。私たちが仕事を進めるなかで必要となる正当化のための手段・手法は既に世に多く広まり、興味を持てば直ぐに手が届く時代ですが、発想・着想の大切さについて体系的に気付きを与えてくれる機会はそう多くありません。豊かな創造力を育むための場を提供してくださったことに感謝をしています。

そして何より、知への関心を深め、学び続け、自分の問いを磨きあげ続ける決意ができたこと、これが、西園寺塾で学び身につけた大切な“Habit”です。一生の宝としていきたいと考えています。

特に印象に残っている講義・フィールドワーク・出来事はどのようなことでしょうか。また、その理由についてお教えください。

  1. 山口周先生の講義
    課題設定と論点形成の大切さ、言い換えれば正しい問いを見つけ出すことの大切さに気付かされた講義でした。今日的に求められるリーダー像を考えた時に、現在の社会、文化、人々が抱える課題など、様々な観点・切り口から情報を集め、それらから正しい問いを切り出し、考えぬく力が求められているのではないかと感じました。また、山口先生の素晴らしい点は思考の中身をわかりやすく聞き手に伝えておられる点でした。これも人を導くリーダーとして重要な素養であることに気付かされました。
  2. 中川毅先生の講義
    「その常識と思われていることは本当に正しいのか?」、ただフォローをするだけでなく、健全な問題意識を持つことの大切さを最も強く感じた講義でした。今、世の中では気候変動について大きな関心が集まっており、世界中の人々が気温上昇に対して一丸となった対策を進めていますが、この問題の本質や真の所在がどこにあるのか、専門家の知見とファクトに基づいて自分自身の頭で考えなおしてみた時に、それでも今私たちがやっていることが正しいと思うのか。中川先生の授業では、ファクトの把握・思考・アクションが三位一体であることの重要性を学びました。
  3. 奈良フィールドワーク(本郷先生)・京都フィールドワーク

    「和を以って貴しとし…」 かつて歴史の教科書で誰もが目にした言葉ですが、この「和」いう概念が数百年もの間、日本で大切にされ続け、現在の私たちの礎になっているように思え、先人たちが残した書や想いに向き合い、そこから何かを学ぶことの価値を理解しました。「歴史に学ぶ」ということの意義をよく理解する機会となりました。
    京都フィールドワークでは、西園寺塾のプログラムでなくては経験することができない場に足を踏み入れ、貴重な体験ができたことが忘れられません。書籍などでどんなに勉強をしたところで実際に体験をしてみないことには、それが何なのか心で感じることは難しいと思います。日本の長い歴史のなかでリーダーの役割を果たしてきた方たちが、何を見て、何を感じ、何を考えていたのか、様々な思いを馳せながら目にした景色は頭から離れません。言葉にすることは難しいですが、人生で味わったことのない新鮮な気持ちであったことは間違いありません。

  4. すべての講義を通じて
    プロフェッショナルの実力と奥深さ、強い熱意、仮説、深い洞察に触れ、自分の精神的な未熟さや不十分さを感じるとともに、真のプロフェッショナルになるために必要なことに少しだけ気付くことができたと感じています。そして、その実現のためには仲間から学び、書籍から学び、ファクトに向き合うことが大切であるとも改めて強く感じました。
    また、点と点、すなわち素晴らしい才能と能力を持った個を繋ぐものは、誰かの強い“意志”や”想い”であり、それらを持つ者こそが真のリーダーなのではないかということも学びました。

今後の夢や目標を教えてください。

東京海上グループの一員として、日本国内・海外を問わず、社会課題解決に貢献することが出来る会社を多く作っていきたいと考えています。そのために、西園寺塾で学んだことを起点とし、各地の現場に良いものを少しでも残し、また優れたものを持ち帰り、決して型にはまらずに時代にあった価値を提供し続けることが出来る会社にできるようリーダーとしての役割を発揮したいと強く思っています。

“To Be a Good Company”、道のりは長く終わりのないものですが、西園寺塾を修了した私ならきっと何かの形で貢献が出来ると自信を持っています!

未来の西園寺塾 塾生にメッセージをお願いします。

西園寺塾は、素晴らしい先生方をお招きし、素晴らしい仲間と出会える場です。ここで多くの「つながり」を見つけ、自分自身を広げていただくと、嘗て味わったことのない貴重な時間を過ごすことが出来るのではないかと思います。講師や仲間の言葉は、今まで知らなかった自分自身を知る機会にもなり、自分のことを評価するもう一人の自分ができるようにも思います。

また、西園寺塾は、これまで継承されてきた素晴らしい日本文化に触れることで、そこから多くの学びを得られる場でもあります。多様性が重視される時代、そしてグローバルな活躍の場がさらに増える昨今、「自分が持つ強みは何か」「日本人として生まれ育った私だからできることは何か」を問うことはきっと今後のキャリアにおいても役に立つことは間違いありません。

最期に、私たちはビジネスをするために生きているわけではありません。自分自身が楽しみ、そして、どこかの誰かを幸せにするために常に自ら問いを生み出し、自らに問いかけ続け、誰かのために何かを創造する、それが私たちの使命なのだと思います。

未来の塾生の皆様にはこの場で文章では表現できない価値ある体験を通して、人生の大きな転換点を見出していただきたいと心から思っています。