Reportレポート・参加者の声

[レポート]東北を知って学んで食すオンラインの旅「0泊2時間東北食べるツアー ~生産者と語ろう~」第4回<岩手県陸前高田市・新生姜>

2021年10月16日(土)、第4回目のツア―を開催しました。

ツア―の舞台は岩手県大槌町。テーマは「新生姜」。菊地康智さんをゲストに迎えました。
新生姜200g、情報誌「東北食べる通信」、菊地さんからのお手紙が事前に送られました。

陸前高田の今を生中継!

東日本大震災により、陸前高田市は、津波により甚大な被害を受けました。再建中の街の様子や津波を奇跡的に耐え抜いた一本の松“奇跡の一本松”の様子などを、中継いただきました。また、陸前高田では10年が経ち、2021年の春にかさ上げ工事が終わり、10メートル盛土で地盤を高くし、新しいまちづくり開発を進めている現状を紹介いただきました。当日は学生、校友、一般の方、あわせて23名が参加。はねだ桃園の農園ツアーから始まりました。

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農園ツアー

菊地さんの生姜畑から農園ツアー。辺り一面緑の畑は、約1.2トン分の生姜が収穫できる広さを有しています。
実際に採れ頃の生姜を収穫いただきました。スーパーで販売されている生姜を種芋として、5月に植えます。約5ヶ月後、霜が降りる11月中旬頃までに収穫します。収穫するタイミングで水分の量や繊維の量など、味や固さが違う面白さがあり、収穫時期を見極める難しさについても語っていただきました。

参加者は、実は知っているようで知らない生姜の知識(ひね生姜や「はじかみ生姜」の由来や普段食べている生姜が「茎」の部分にあたることなどなど)、生姜クイズに答えながら、生姜への知識を深めました。

 菊地さんの生姜は無農薬で、土には、醤油を作る際に廃棄される残渣を有効活用されています。参加者の多くは、馴染みのない生姜畑からの中継、生姜の新たな一面を知る時間に興味津々の様子でした。

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菊地さんとのトークセッション

参加者からチャットやマイクで質問する形式で、菊地さんと対話しました。

菊地さんが生姜農家になったきっかけは、東日本大震災。陸前高田市に押し寄せた津波の被害を機に、関東から実家に。地域に何か貢献したいという思いから、生姜の持つ機能性に着目し、東北では珍しい生姜の栽培を開始されました。

生姜が身体を活発させる力があること、さらには地域を元気にできることに魅力を感じており、生姜の認知や普及活動への思いを語りました。また、消費者の目線や限られた畑の地形から無農薬へのこだわりなど、経営者としての視点からも返答されました。

参加者からの「生姜を栽培するうえでの難しさは?」という質問に対しては、「自然のなかで、生姜を育てることはお手本通りにはいかないことも多いので、そこが難しい。日々独学で栽培方法を研究を続けている」と日々研究に磨きをかけていることを返答しました。


東日本大震災の発生から10年を振り返り、住宅やお店などのハード面がだんだん再建されてきたこと、これからソフト面で素敵なまちにしていくために貢献していきたいと熱くお話いただきました。さらに、「自然のなかで生かされている。震災前からあった自然の美しさや立地・環境など、陸前高田市の本来の魅力もいかたい」と今後の陸前高田への思いを語りました。

最後に、菊地さんから、日本には生姜を祀る神社があり、「生姜は罪穢れを払って心が通じると言われている。皆さんには、神様と通じている生姜を今後も可愛いがってほしい」と生姜への思いを伝えていただきました。
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参加者の声 *一部紹介

・生産者との距離も近く感じることができ、また災害復興の現状がニュースなどの俯瞰的な見方ではなく、現場の様子が直接映像や会話で感じとることができる点が他には無いところです。

・農業の視点から復興への取り組みを知ることができ、街の人口を増やしたり、帰還できない住民を帰還させることや、街の活性化だけが復興でないこと知りました。この企画のお陰で、農業からの復興支援にも興味をとても持ちました。

・いろんな地域から参加している方がいらっしゃって、オンラインの利点だと思いました。実際に陸前高田に訪れたいと思いました。今回が初参加でしたが、生姜がどのように作られているのかなど実際に収穫する様子も知ることができ、生産者さんの想いを聞くことができてよかったです。

■ 関連情報 
立命館の復興支援の歩みやスペシャルムービー、立命館関係者を対象に募集した”つむぐ思い出”写真の応募作品などを掲載しています