Reportレポート・参加者の声

[レポート]東北を知って学んで食すオンラインの旅「0泊2時間東北食べるツアー ~生産者と語ろう~」第6回<岩手県大船渡市・ワカメ>

2022年2月19日(土)、第6回目のツア―を開催しました。

岩手県大船渡市からテーマは「ワカメ」。千葉豪さんをゲストに迎えました。
早採りワカメ500gとメカブまるごと1個、情報誌「東北食べる通信」、千葉さんからのお手紙が事前に送られました。当日は全国各地から、子どもから学生、大人まで22名が参加。

船の上から生中継!ワカメ養殖のいろは

大船渡で生まれ、25歳で漁師を始めた千葉さん。
船の上からつながった場所は、大船渡市の吉浜湾。リアス式海岸(ギザギザの地形)の真ん中に位置しており、山と海が密接しており、湾の容積が大きいことが特徴です。

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吉浜湾地区は、明治時代、津波発生時に住民が集落を高台に移転したことがきっかけで、現在に至るまで高台に集落を形成しています。これにより、東日本大震災発生時も、津波により海抜が20メートルもの水面が上昇し、漁港や船、海の養殖施設なども流されましたが、家屋の被害は数件のみに留まり、早い段階から住民の方々は、漁業など職場の復旧作業などに取り掛かることができたと、千葉さんは言います。

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関西ではなかなか手に入らない生のワカメ。日本では、ワカメは約6割が外国産・4割が国産ですが、生産地で消費されることが多く、流通していない地域が多くあるのが現状です。販売しても、ほとんどが加工した塩蔵ワカメで販売されると言います。

千葉さんは3~4メートルの長いワカメを持ち上げながら、わかりやすいワカメの部位や育てやすい地域などの解説がありました。ワカメ漁は朝早く体力勝負。大船渡で生まれ、25歳で漁師を始めた千葉さん。漁師として、日々風や波の強さや向きを把握したうえで、出漁を判断します。

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千葉さんとのトークセッション

はじめに、東日本大震災でのエピソードをお話しいただきました。

震災前から、低気圧や小さい津波はよく発生しており、ワカメの価格はすでに打撃を受け、高騰していました。当日、千葉さんは漁港でワカメの加工するために機械などを準備していましたが、“いつも”と違う異変を感じ、避難しました。津波は水の満ち引きの繰り返し。小さい津波が発生することはよくあるため、当初は大きな被害が出ることは想定しなかったといいます。

千葉さんは震災後の復旧作業を契機に、日本のワカメの流通についてや、消費者にとって良いワカメとは何かを考えるなど、さまざまな視点でワカメを考えるようになったと言います。

一人の漁師として、ワカメ・生き物・海や波などの自然やまちと向き合うことを楽しさ、誇りと責任を持って、生きていることを語っていただきました。

最後に、千葉さんからは「震災前から浮彫になっていた一次産業の課題が、震災で一度崩れ、新しい取り組みを応援する風潮も出てきた。しかし、今徐々に復旧していく過程で、新しい取り組みを容認しないという課題も復活してきてしまっている。」と今後の一次産業の課題を指摘します。また、漁師の楽しさに価値を置き、10~20代の若い漁師が増えている傾向にあり、幅広い年齢層で第一次産業を盛り上げることへの期待についてもお話しいただきました。

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参加者の声 *一部紹介

・東北食べるツアーの「食」の切り口のように、日常生活に紐づけることができる関心の高いような取り組みであればより震災を身近に感じやすいのではないかと思いました。

・東北から遠く離れた地からも,様々な東北の食を楽しみながら,震災の影響を含めた東北の現状を知る良い機会となりました。生産者との交流時間を設けてくださったのも良かったです。色々と考えて企画してくださったことがよく伝わってきました。またこのような企画があればぜひ参加したいです。 

・京都をはじめとする関西エリアにおいて、東北エリアの震災を身近に感じる機会があまりない中で、どのようなイベントを実施しているのかという内容そのものにも興味がありましたし、時間の経過とともに風化していく震災の記憶を呼び起こしながら、どのような形態・形式であれ、復興支援のイベントを実施してくださる姿勢に感謝の念を抱きつつ、参加させていただきました。


■ 関連情報 
立命館の復興支援の歩みやスペシャルムービー、立命館関係者を対象に募集した”つむぐ思い出”写真の応募作品などを掲載しています