Reportレポート・参加者の声

「チャレンジ、ふくしま塾。」2024年8月の現地活動レポート①~活動報告編~


8月3日(土)から5日(月)までの3日間「チャレンジ・ふくしま塾」で福島を訪問しました。
こちらでは、参加した学生による活動報告をお届けします。


今回は、以下のテーマで地域を巡りました。
1日目:【教訓】東日本大震災・原子力災害の全体像を学ぶ
2日目:【光と影】廃炉・復興に向けた取り組みと町の現状を知る
3日目:【挑戦】新たな取り組みを知る

1日目:【教訓】東日本大震災・原子力災害の全体像を学ぶ

①初日の8月3日は、まず「震災遺構・浪江町立請戸小学校」を訪れました。
請戸は、津波によって多くの犠牲者が出た地域で、請戸小学校も海から約300メートルのところにあります。
東日本大震災当時、児童82人が学校に残っており、避難場所に指定されている学校から約1.5km離れた大平山を目指し避難したことで、児童と教員の全員が無事避難できました。

請戸小学校は津波の被害に遭い、津波の影響でゆがんだ体育館の扉や、押し流された給食室の器具など、今でも遺構として残っており、津波の恐ろしさを感じました。

②続いては双葉町の「東日本大震災・原子力災害伝承館」へ。
ここでは、まず語り部の方のお話として、伝承館近くに自宅があった高倉伊助さんにご講話いただき、伝承館を見学しました。

高倉さんは当時の経験を涙ながらに思い出してお話しされており、13年たった今でもそれほどの傷を残してしまう震災の悲惨さと、まだ当時の話を伝えてくださる方がいることで、私たちもこうして震災の実態を知ることができるのだという感謝を忘れず、この学びを今後に活かしたいと思いました。
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③1日目の最後は、大熊町の「中間貯蔵施設」を訪れました。

最初に中間貯蔵施設情報センターで現状の工事の様子や、見学についての説明を職員の方から受けた後、除染が終わっていない除去土壌が入ったフレコンバッグの広がる大熊町の中間貯蔵施設を見学しました。

この場所は、大熊の人たちの家や田畑があった場所です。元々はこの場所に住民の方々が暮らしていたことを想像し、複雑な気持ちになりました。
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2日目:【光と影】廃炉・復興に向けた取り組みと町の現状を知る

①2日目の8月4日の午前は、富岡町の「東京電力廃炉資料館」へ。
こちらは、もとは福島の原子力発電所の理解促進のためにたてられた施設でしたが、3.11の事故を受けて廃炉への道筋とそのための技術を紹介する施設となりました。

原子力や事故の状況は、なかなか理解するのも難しく、日常生活では自分たちが触れることのない話題です。
職員の方々の丁寧な説明と、いくつもの映像でわかりやすいものとなっていましたが、展示だけで理解するのが難しいものもあり、学生からスタッフの方に何人も質問させていただきました。
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②午後は、大熊町役場職員の方に帰還困難区域など町を案内していただきました。

その中で、特に印象に残っているのは大熊町立熊町小学校です。
熊町小学校は期間困難区域内にあり、震災当時のままの小学校の中を見学しました。

震災が起こった時間で止まったままの時計、外靴が残ったままの靴箱、ランドセルが置いたままの教室、地震で倒れた図書室の本棚…震災の恐ろしさを知ると共に、母校が震災当時のまま入ることができなくなる悲しさを想像し、言葉を失う学生も多くいました。

大野駅の西側では、産業交流施設や商業施設の建設が進んでおり、大熊町の復興に向けて一歩一歩進んでいっていることを実感したと共に、帰還困難区域の中の様子との差を強く感じました。

最後に、大熊町役場で職員の方と懇談をし、大熊町役場で震災当時の町の様子や、現在の復興の様子についてお話を伺い、町への理解が深まりました。
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3日目:【挑戦】新たな取り組みを知る

①最終日の8月5日は、大熊町役場を訪問し、吉田淳町長と懇談させていただきました。
大熊町と立命館大学は、大熊町の新しい情報発進を目的とした包括連携協定を2024年4月11日に結びました。今回の訪問は大熊町の方々のご協力のもとに成り立っています。

 町長との懇談では、今回の訪問の感想、これからに活かしたいこと、新たに生じた疑問を発表した後、様々な質問をさせていただきました。
町長からは大熊町の中にある中間貯蔵施設について、どのように土地をゆずってもらったのか等のお話をいただきました。全ての人にとって苦渋の決断だったのだと改めて感じる時間でした。
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②その後、学び舎ゆめの森を訪れました。
こちらは、認定こども園と義務教育学校が一体となり、0~15歳のシームレスな学びを目指して、2023年に大熊町の大川原地区復興拠点に開校しました。

最初に、校長の南郷市兵さんにゆめの森の教育の魅力や大熊町というフィールドについてのお話をお聞きし、校内を案内していただきました。
※ちなみに、こちらでは「校長」ではなく、「GM(ジェネラルマネジャー)と呼ぶそうです。

建物全体が遊具の学び舎ゆめの森は、私たち大学生でもワクワクするほど、とても魅力的な学校でした。楽しみながら学ぶ子どもたちを見て、「こんな学校で勉強したかったな~」と漏らす学生もたくさんいました。
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③最後は、川内村で「世界一の蒸留酒」を作ろうと取り組む、福島大学卒業生の大島草太さんにお話を伺いました。
お話の中でもっとも印象に残っているのが大島さんが仰っていた「地域にある活躍していない資源を利用する」という考え方です。

例えば自分の地元である広島ではレモンが有名ですが、それを利用したお酒など、別の活用方法で地域の新しい特産品を作り出し、地域を盛り上げることができると教えてもらいました。その考えをもとに生まれたのが、クラフトジンです。

2階には、クラフトジンを楽しめるレストランが建設中で、大学生や、浜通りの方などの協力があることを知り、たくさんの方に応援されているプログラムなのだと肌で感じることができました。
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