研究科長挨拶

社会と時代が抱える課題に
「政策力」と「志」で立ち向かう
政策プロフェッショナルを育成する。

立命館大学大学院 公務研究科
研究科長  森 道哉

立命館大学は「私立京都法政学校」から始まる100年以上の歴史と伝統を持っていますが、それは社会が要請する人材を、教育の課題として受け止めてきた歴史でもありました。公共政策大学院・公務研究科は、このような伝統を引き継ぎ、「公共問題」にチャレンジできる「考え、調べ、判断し、行動する」人材の養成を目的にして、2007年4月に誕生しました。

私たちは、この人材が身につける力を「政策力」とも表現しています。そして「政策力」は、社会や人間の行動を、観察・分析・理解できる学問的な「基礎体力」をつけること、自分で発見した問題を追求し、場合によってはその解決策を提示する訓練をすること、自分の意見や主張に説得性を持たせるコミュニケーション能力を磨くこと、さらには、「公共問題」に向き合う「志」を吟味し高めることによって育まれていくと考えています。

ちなみに、全国に「政策」と名のつく研究科が多くありますが、「公務」を使用している研究科は立命館大学だけです。それは、公務員志望者や現職公務員の能力開発を念頭に置いていることが理由の一端ですが、それだけではありません。「公務」を自分の問題として受け止め、「政策力」を磨こうとする市民にも幅広く開かれ、修了生が、民間企業、シンクタンク、NPO、政治の世界等で活躍してくれることも期待してつけられた名称です。

カリキュラムは、「基礎体力」、問題追求能力、コミュニケーション能力、「志」を身につけるべく工夫されていますが、とくに、複数の教員と院生の集団が、共同でこれらの能力を身につけるべく設計されたリサーチ・プロジェクトは、ユニークな仕組みだと思っています。行政の実務経験豊かな教員、法学、政治学、経済学の分野でそれぞれ優れた業績を持つ教員たちは、皆さん方が、「政策力」を鍛錬する「場」として公共政策大学院・公務研究科を活用されることを、心から期待しています。