岡田 まり教授 の VOICE

VOICE

取材時期:2012年

岡田 まり教授 教員

研究テーマ
QOL向上のための支援のあり方と方法(特に、保健医療・精神保健分野に おけるソーシャルワーク、障害者・高齢者の地域生活支援)
教員詳細

きっかけは、大学で学んだことが役立たなかった実体験
専門性をつねに磨き続けていきましょう

先生は、どのような経緯から現在の研究テーマを設定されたのでしょうか。

学生の頃、福祉現場に実習にいって、大学で学んだことが役に立たないと思ったことがきっかけです(笑)。その後、福祉現場での実習、アルバイト、調査、職員研修などを通して多くの福祉従事者と関わり、学校や研修で学んだことが役立たないと感じている人が少なくないことがわかってきました。現場で奮闘しつつも思い悩む専門職やサービス利用者の方々に接するなかで、どうすれば本当に役立つ福祉実践が行えるのかを明らかにして、わかりやすく伝えたいと思うようになりました。そこから、根拠に基づく実践と評価に焦点をあてた研究を志すようになりました。

先生は、これまで研究上の大きな困難にぶつかったことがおありでしょうか。
また、その場合どのようにしてそれを克服されましたか。

いつも、時間がない、人手がない、お金がない、そして力量がないことに悩まされています。これらを克服するには、まずは自己研鑽と適切な研究計画が必要ですが、毎度できてないと反省しています。困った時に大きな支えになるのは、やはり仲間でしょうか。率直な意見を聞かせてくれ、時には無理な協力依頼を受け入れ手を差し伸べてくれる研究や実践の仲間がいたからこそ実現できたことが多々あります。

2年間の修士課程を終えて社会に出ていく院生に対して、大学院時代の成果をどのように実社会で活かしていくか、アドバイスをお願いします。

修士課程では特定の領域での専門性を高められたと思いますが、専門性は一旦獲得しても、常に磨き続けなければ鈍ります。そして、社会は常に変化しています。大学院時代に身に付けた情報収集・分析、論理的思考、議論、執筆といったスキルの維持・向上に意識的に取り組むこと、大学院で得た知識のアップデートを図り、応用できるようになることが、大学院時代の成果を実生活に活かす方法だと思います。

将来研究職を目指す院生が早い段階から取り組んでおくべき課題があるとすれば、それは何でしょう。

研究の目的や意義を明確にする努力をするとともに、研究者としてのスキルやマナーを身につけることです。スキルには、いろいろなものがありますが、まずは目的にあった研究方法を習得することが挙げられます。残念なことに、自己流の不適切な調査方法を用いたために研究が無駄な努力になっているのを見かけることがあります。よく調べ、適切なアドバイスを受けて、科学的な方法を身につけることが肝心です。また、論文執筆や学会発表を通して論理的思考力を鍛え、プレゼンテーションの力をつけることも大切です。できるだけ多くの良質な論文を読むこと、学会に参加して優れた発表を見聞きすること、そして自分でも投稿や発表をしてフィードバックをもらうことがとても役に立ちます。
最後に、研究者の倫理とは何かを早い段階から考えることが不可欠です。