張 惠英さん の VOICE

VOICE

取材時期:2013年

張 惠英さん 修了生

立命館大学大学院 社会学研究科 応用社会学専攻
博士課程後期課程 2013年度修了
現職
立命館大学非常勤講師、立命館大学コリア研究センター客員研究員

「韓国映画史の再考察」がいまの授業に活きる

社会学研究科では、どのようなテーマを研究されましたか。

私の研究テーマは「抑圧と抵抗の狭間で‐朴正熙独裁政権下(1961‐1979)韓国映画史の再考察」です。私は1960年代と1970年代をそれぞれ黄金期、暗黒期と形容する韓国映画史言説を分析することで、韓国における政治と映画界の複雑な関係性の一端を明らかにしました。そこから導き出された結論は、朴正熙政権に対して「抵抗」の姿勢を示すことができなかった韓国映画界が自らを「被害者」として強調するという文脈の中に、黄金期・暗黒期言説は存在しているということでした。

研究を進めていく上でご苦労されたことはありましたか。また、それをどのように乗り越えていかれましたか。

研究を進めていく上で最も苦労したのは時間管理でした。院生というのは、特に博士後期課程の院生は、自分が上手に時間のマネジメントをしないと、いくらでも怠けられます。自ら進んで積極的に、研究発表や論文投稿などに取り組んでいかないと、いつまでも日々の雑務や生活に追われてしまうからです。それで私は、まず全ての物事に自分なりの締め切りを作るようにしました。それから一回決めたことは、自分にプレッシャーをかけるために、周囲の人々に常に言うようにしました。こうした積み重ねがあったからこそ、博士論文を書けたのではないかと思います。

院生時代の研究が、今のお仕事にどのように活かされていますか。

現在、立命館大学の産業社会学部で「映画と社会」という授業を担当しています。そもそも自分の研究テーマも映画と社会に関するものだったので、院生時代の研究がそのまま授業に活きている感じです。また、学生たちに毎回毎回コミュニケーションペーパーを提出してもらっていますが、私の研究テーマ及び授業の進め方にかなり興味を示してくれているのが読み取れて、非常にやり甲斐を感じる日々です。

いま社会学研究科で学び研究する院生たちに、なにかアドバイスがありましたらお願いします。

院生として研究をしていると、いつも時間に追われます。そのため、多くの院生が自分の健康管理を軽視しがちです。私もそれが原因で、短期間ではありますが入院までした経験があります。その時に感じたのは、どんな研究も健康でなければ続けられないということです。おそらく多くの院生が時間を惜しんで研究に心血を注ぎ、食事の時間や睡眠時間などを削っていると思いますが、時間管理と体調管理にはくれぐれも気をつけて下さい。